調査の概要
対象物質は、環境基準が設定されている6物質です。令和6年度末時点の測定局数は全国で1,724局であり、内訳は一般環境大気測定局(国設局を含む。以下「一般局」という。)が1,353局、自動車排出ガス測定局(国設局を含む。以下「自排局」という。)が371局です。
(2)有害大気汚染物質等に係る常時監視
対象物質は、環境基準が設定されている4物質、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)が設定されている11物質及びそのどちらも設定されていないその他の有害大気汚染物質7物質の計22物質です。環境基準及び指針値の達成の評価に有効な測定地点(月1回以上の頻度で1年間測定した地点)は、物質に応じて269~373地点でした。
測定結果の概要
ア 微小粒子状物質(PM2.5)
環境基準達成率は、一般局で99.5%、自排局で100%(令和5年度 一般局、自排局とも100%)でした。
全測定局の年平均値は、一般局で8.4μg/m3、自排局で8.9μg/m3(令和5年度 一般局:8.5 μg/m3、自排局:9.2 μg/m3)でした。
イ 光化学オキシダント(Ox)
環境基準達成率は、一般局で0%、自排局で0%(令和5年度 一般局:0.1%、自排局:0%)であり、達成状況は依然として極めて低い水準となっています。
なお、光化学オキシダント注意報発令レベル(0.12ppm)の超過割合が多い地域※1における光化学オキシダント濃度の状況について、その長期的な改善傾向を評価するための指標値※2の令和4~6年度の結果は、平成31~令和3年度と比べて関東地域、東海地域、阪神地域が上昇、福岡・山口地域が横ばいでした。
また、令和6年の光化学オキシダント注意報の発令状況※3における注意報発令都道府県数は14都府県、発令延日数が77日であり、令和5年(17都府県、延べ45日)と比較して、発令延日数は増加しました。また、光化学大気汚染によると思われる被害の届出は7人(令和5年:2人)でした。
※2光化学オキシダント濃度の長期的な改善傾向を評価するために、中央環境審議会大気・騒音振動部会微小粒子状物質等専門委員会が提言した新たな指標であり、Ox濃度8時間値の日最高値の年間99パーセンタイル値の3年平均値を測定局毎に算出した上で、その地域で最も高い数値を「その地域の指標値」として算出したもの。
(参照:https://www.env.go.jp/content/900403658.pdf)
※3警報(発令レベル0.24ppm)の発令は0回
ウ その他の大気汚染物質
二酸化窒素(NO2)の環境基準達成率は、一般局、自排局とも100%(令和5年度 一般局、自排局とも100%)でした。
浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率は、一般局、自排局とも100%(令和5年度 一般局、自排局とも100%)でした。
二酸化硫黄(SO2)の環境基準達成率は、一般局で99.6%、自排局で100%(令和5年度 一般局:99.8%、自排局:100%)であり、環境基準未達成局は火山の噴火の影響によるものでした。
一酸化炭素(CO)の環境基準達成率は、一般局、自排局とも100%(令和5年度 一般局、自排局とも100%)でした。
(2)有害大気汚染物質等に係る常時監視測定結果(別添2、別添3)
環境基準が設定されている物質については、ベンゼンは固定発生源周辺1地点で環境基準を超過しました。その他の3物質は全ての地点で環境基準を達成していました。指針値については、設定されている11物質の内、7物質は全ての地点で達成していましたが、塩化ビニルモノマーは固定発生源周辺の1地点、1,2-ジクロロエタンは固定発生源周辺の3地点、ヒ素及びその化合物は固定発生源周辺の4地点、マンガン及びその化合物は固定発生源周辺の3地点で指針値を超過していました。また、環境基準や指針値が設定されていない7物質については、経年的にみると、その濃度はほぼ横ばい又は低下傾向でした。
〈参考〉
| 項目 | 環境上の条件 | |
| 大気汚染物質 | 二酸化窒素(NO2) | 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。 |
| 浮遊粒子状物質(SPM) | 1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。 | |
| 光化学オキシダント(Ox) | 1時間値が0.06ppm以下であること。※1 | |
| 二酸化硫黄(SO2) | 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。 | |
| 一酸化炭素(CO) | 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。 | |
| 微小粒子状物質(PM2.5) | 1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。 | |
| 有害大気汚染物質 | ベンゼン | 1年平均値が3μg/m3以下であること。 |
| トリクロロエチレン | 1年平均値が130μg/m3以下であること。 | |
| テトラクロロ エチレン |
1年平均値が200μg/m3以下であること。 | |
| ジクロロメタン | 1年平均値が150μg/m3以下であること。 | |
2 指針値
指針値とは、有害性評価に係るデータの科学的信頼性において制約がある場合も含めて検討された、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値であり、現に行われている大気モニタリングの評価にあたっての指標や事業者による排出抑制努力の指標としての機能を果たすことが期待されるものであり、以下のように設定されています。
| ≪物質≫ | ≪環境上の条件≫ |
| アクリロニトリル | 1年平均値が2μg/m3以下であること。 |
| アセトアルデヒド | 1年平均値が120μg/m3以下であること。 |
| 塩化ビニルモノマー | 1年平均値が10μg/m3以下であること。 |
| 塩化メチル | 1年平均値が94μg/m3以下であること。 |
| クロロホルム | 1年平均値が18μg/m3以下であること。 |
| 1,2-ジクロロエタン | 1年平均値が1.6μg/m3以下であること。 |
| 水銀及びその化合物 | 1年平均値が40ng Hg/m3以下であること。 |
| ニッケル化合物 | 1年平均値が25ng Ni/m3以下であること。 |
| ヒ素及びその化合物 | 1年平均値が6ng As/m3以下であること。 |
| 1,3-ブタジエン | 1年平均値が2.5μg/m3以下であること。 |
| マンガン及びその化合物 | 1年平均値が140ng Mn/m3以下であること。 |
3 評価方法
(1)二酸化窒素(NO2)
1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、低い方から数えて98%目に当たる値(1日平均値の年間98%値)を環境基準と比較して評価を行う。
(2)浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化硫黄(SO2)及び一酸化炭素(CO)
1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、高い方から数えて2%の範囲にある測定値を除外した後の最高値(1日平均値の年間2%除外値)を環境基準と比較して評価を行う。ただし、上記の評価方法にかかわらず環境基準を超える日が2日以上連続した場合には非達成とする。
(3)光化学オキシダント(Ox)
1時間値の年間最高値を環境基準と比較して評価を行う。※1
(4)微小粒子状物質(PM2.5)
長期基準に対応した環境基準達成状況は、長期的評価として測定結果の年平均値について評価を行うものとする。
短期基準に対応した環境基準達成状況は、短期基準が健康リスクの上昇や統計学的な安定性を考慮して年間98パーセンタイル値を超える高濃度領域の濃度出現を減少させるために設定されることを踏まえ、長期的評価としての測定結果の年間98パーセンタイル値を日平均値の代表値として選択し、評価を行うものとする。
測定局における測定結果(1年平均値及び98パーセンタイル値)を踏まえた環境基準達成状況については、長期基準及び短期基準の達成若しくは非達成の評価を各々行い、その上で両者の基準を達成することによって評価するものとする。
(5)有害大気汚染物質等
長期曝露による健康リスクが懸念されている物質であるため、月1回以上の頻度で1年間測定した地点において、測定結果の年平均値を環境基準及び指針値と比較して評価を行う。
※1 令和6年度は、令和8年1月30日改正前の環境基準値及び評価方法が適用されている。