公益財団法人 オイスカ 広島県支部の集い 参加レポート
オイスカ・インターナショナル(The Organization for Industrial, Spiritual and Cultural Advancement-International)は、「すべての人々がさまざまな違いを乗り越えて共存し、地球上のあらゆる生命の基盤を守り育てようとする世界」を目指して1961年に設立されました。
本部を日本に置き、現在34の国と地域に組織を持つ国際NGOです。
公益財団法人オイスカ(以下、オイスカ)は、1969年にオイスカ・インターナショナルの基本理念を具体的な活動によって推進する機関として生まれ、主にアジア・太平洋地域で農村開発や環境保全活動を展開しています。
特に、人材育成に力を入れ、各国の青年が地域のリーダーとなれるよう研修を行っています。オイスカの研修を修了した各国の青年は、それぞれの国で農村開発に取り組んでいます。国内では、農林業体験やセミナー開催などを通しての啓発活動や、植林および森林整備による環境保全活動を展開しています。
オイスカ広島県支部は、中国経済連合会が中心となり平成10年4月に設立されました。
中国企業株式会社(広島市)内に事務局を置き、地元の企業や森林ボランティアグループの協力を得て、「山・林・SUN活動」をはじめとする支部主催の活動を実施するとともに、海外植林活動(関西研修センター主催)への参加や、四国研修センターなどから海外研修生の受け入れも行っています。
(以上「OISCA」ホームページより抜粋)
国際NGOとして、世界で活躍されている団体「オイスカ」様。今回で5回目となる広島県支部の集いに参加させていただきました。
【日 時】平成27年5月28日(木)13:15~16:30
【場 所】広島国際会議場B2F「ダリア」
【定 員】200名
【13:30~ 報告会】
「復興支援『海岸林再生プロジェクト』から見える被災地の今」
オイスカ本部 総務部 広報室長 林 久美子 氏
『海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画』について、スタートしてから現在までの経緯や活動内容について、報告なさいました。
津波で失った名取市の海岸林約100haの復活を目指し、企業や民間団体、一般ボランティアと共に、種を植えてから植栽できるまで約2年かかるクロマツを種から育てて、毎年10万本前後の植栽を目標に活動されているとのこと。(昨年度は半分枯れる予想で植栽されたところ、なんと定着率98.6%の実績!)
① 育苗の作業は、主に地元NPOが担当。
② 植栽の作業は、主に森林組合(プロ)が担当。(1人:1日300~500本!!)
・植樹祭には、地元の人限定で参加募集を募って実施。地元住民(子どもも参加)が植栽することにより、海岸林に対して愛着心が根付くこと、また共に作業する事で、コミュニティの再生を目指していらっしゃるとのこと。
③ 定期的に手入れ(雑草の除去、チップ設置、肥料、溝切り等)は、主に一般ボランティアが担当⇒毎月第3土曜日は「ボランティアの日」とし、全国の個人や企業、団体からのボランティアによる草刈り等の手入れ作業を実施されていらっしゃいます。
※ちなみに『広島空港⇔仙台空港:約90分』東京より早く現地へ行く事が出来るそうなので、ボランティア参加可能な方は、ぜひ現地へ!!
この活動は、民間からの寄付金のみで運営されていて、10年後以降の継続活動費も含め、この10カ年で10億円を目標に寄付を募られていますが、寄付金以外にも企業からは、物品や技術力など、本業を活かした支援も受付けているそうです。例えば、マイレージで寄付ができる仕組みや、エンジンオイル1ℓあたり○○円の支援、レジ募金(募金カード)やマラソン大会でのチャリティー基金など、様々な支援の方法があるそうです。
エンドユーザー(社員の家族や一般人)まで、何らかの形で支援活動に関われる仕組み作りを目指して活動されていらっしゃるとの事でした。
これからも、10ヵ年計画の目標達成に向けて、引き続き多くの皆様からの戦力の支援(ボランティア)、活動資金の支援等、引き続きご協力をお願いしたいと、締め括られました。
当日は、メーカーの技術支援で活動現場を撮影した写真パネルを展示してありました。
※この写真を展示し、より多くの方々にこのプロジェクトを伝えるためのスペース提供の支援も受付されていらっしゃいます。
【14:45~ 環境講演会】
「山は、森は、海の恋人-日本人の自然観と信仰」
講師:民俗学者「旅の文化研究所」所長・岡山県宇佐八幡神社宮司 神崎 宣武 先生
「日本は島国」というが、大小さまざまな島が連なり、どこから見ても山が見え、海の淵まで山があることから、日本は「山島列島(やまじまれっとう)」という表現が相応しいとのお話からスタートしました。
会場の参加者に、「山のイメージ」について質問され、「日本人の描く山は単独で色は緑色という感覚」が、実は「日本の文化」であるとのこと。
山と、日本のカミ(神・仏)の深い関係や、山の信仰にまつわるお正月など様々な行事について、その深い意味を分かりやすい言葉でお話されました。
お正月の「お年玉」は、「歳神御魂分(としがみさまのみたまわけ)」が語源で、お正月の歳神様への御供え物を皆でお裾分けしていた慣わしが、近年「お年玉」という形なったとのお話など、言葉は知っていても、今までその深い意味まで知りませんでしたが、日本文化の奥深さを先生のお話で改めて実感しました。
この由緒ある「日本の素晴らしい文化」とその意味を、今我々が次世代に伝えていかなければ、このことを知る人が日本からいなくなってしまうと先生はおっしゃいました。
先生のお話は、日本人の一人として「日本の文化、素晴らしさ」を「知ること」の重要性、そして次世代を担う子ども達に「伝えること」がいかに大切なことか考えさせられるきっかけとなる、日本に生きる我々にとって大切な素晴らしいお話でした。
オイスカ 広島県支部の皆様、このたびは、当方の情報発信業務にご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。
【レポート】
> 広島県支部の集い(環境講演会)
この記事の発信者
西村浩美(にしむら ひろみ)
コーディネーター