取組紹介

エリア 広島県

【共催事業報告】ESD学びあいフォーラム2020 「新聞から読みとくSDGs ー知る、深める、伝えるー」

主体
テーマ
方法

ESD学びあいフォーラム
「新聞から読みとくSDGs-知る、深める、伝える」

【日  時】令和2年12月12日(土)10:15~13:00
      ※10:15-16:00の予定だったが、広島市の「新型コロナ感染拡大防止集中対策」
       発令を受け、急遽時間短縮で実施
【場  所】合人社ウェンディひと・まちプラザ(広島県広島市中区袋町)
【参  加  者】24名
【講  師】《新聞を使ったアクティビティ紹介》
       有馬 進一(日本NIE学会理事)
      《中国地方新聞社NIE事例紹介》
       山本 直樹(山陽新聞社岡山本社 NIE推進部)
       伊藤 一亘(中国新聞社 読者広報部)
【主  催】中国地方ESD活動支援センター/
      環境省中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)/JICA中国
【後  援】朝日新聞社、山陰中央新報社、山陽新聞社、新日本海新聞社、中国新聞社

【プログラム】
10:15~ オープニング、開会挨拶
10:30~ NIE概論、新聞を使ったアクティビティ体験「新聞×SDGs」
12:25~ 新聞社NIE事例紹介
12:45〜 グループ内での感想・意見交換
12:55〜 質疑応答
13:00  クロージング、アンケート記入

※NIE…Newspaper in Education 「新聞に教育を」新聞を活用した教育活動

<企画の目標

①参加者自身のSDGs理解促進:最も身近なニュースリソースである地方新聞からSDGsの課題を見つける作業を通し、地域の現状や課題、強み、魅力を再認識し、持続可能な社会づくりに向けて自分自身が出来る事を考えるきっかけとする。
②ネットワーク構築:参加者(主に教育関係者)、地方新聞社、地域のESDキーパーソン(ESD活動推進拠点実践者)が情報共有を行うことで、地域における新たな学びのネットワークを構築するきっかけとする。
③NIEの手法習得:講義やワークショップを通じて、身近な教材である地方新聞を活用したアクティビティや参加型手法を学び、地方新聞を活用したSDGsの伝え方、授業方法を習得する。 

(教育現場での活用→課題認識→実践→課題解決までのステップを期待)

<企画の内容>

新聞を活用したアクティビティを体験、実践につながる授業の手法

新たな学びのネットワーク構築と実践的な授業の手法を学ぶことを目的に、日本NIE学会理事の有馬進一先生をお招きし、中国地方の学校関係者などNIEやESDに携わる多様な参加者と、新聞からSDGsへの理解を深めるフォーラムを開催しました。
また、後半は山陽新聞社、中国新聞社より、教育現場でのNIEの実践事例をご紹介いただきました。新型コロナウィルスの影響で急遽半日の開催となりましたが、実施後アンケートのコメントでは「ぜひ授業に取り入れたい」 「また開催してほしい」など、参加者にとって満足度の高い学びの機会となりました。

2030のあるべき姿を考えることから、今の自分の行動を考える

【NIE概論】
以下、有馬氏のお話より

・バックキャスティングという言葉がある。2030のあるべき姿を考えることから今の自分の行動を考える。目標を定めて逆算していく。これが非常に大切だ。
・アルゴリズムによるフィルターバブル。フィルター検索すると、「この人はこの分野に興味がある」と自動で読み取ってくれる。結局コンピューターのプログラムに組み込まれてしまい、自分の興味のある世界でしかデジタルの世界は表現できない。新聞はある意味フィルターバブルを排除している。この考え方はSDGsの考え方であり、新聞の力だ。これを掛け合わせると、SDGsの世界へ、学ぶ力が得られるのではないかと仮説する。
・SDGsの17の目標は、新しい思考の枠組み、思考回路そのものだと考えても良いかもしれない。このような視点で新聞を読むと、SDGsの視点で理解出来ることが多い。これまでは「総合的思考」や「横断的思考」で、と言っていたが、「SDGs的思考」で教科の枠を軽々と飛び越え、問題点を発見することができるようになる。

ワークショップ①「ペタッとSDGs付箋」】

<流れ>
①本日の朝日新聞と「ペタッとSDGs」付箋を準備
②SDGsの17ゴールいずれかに関連する記事を見つける、そこに付箋を貼り、つぶやきと自分の名前を書く(関連するゴールがない場合は、18番目を作ってもよい)
③自分の新聞でおこなった後、壁面に貼っている新聞に貼りかえていく
 ・自分は一体何を考えているのか、友だちは何を考えているのか、ということが見えてくる。
 ・同じ記事でも読み方によって、SDGsのゴールが違う。多数派が勝つわけではなく、人によって捉え方がちがうということ。少数派は正解があるときは無視される場合があるが、その論理を大事にしてあげることも大事だ。
 ・逆に何も貼られていない記事に意識を向けさせるために、教員が貼ってみるのもありだ。様々な視点が入ることにより、授業が深くなる。付箋をどう使うか、ここが教員の腕の見せ所だ。

【ワークショップ②「SDGsマッピングで記事分析」】
 <流れ>
中国新聞、山陽新聞、新日本海新聞、山陰中央新報の4紙とA3サイズのワークシート「〜新しいものさしで考える〜新聞でSDGs」で進めていく。
①記事を切り抜いて貼る
②17ゴールの関連部分にラインを引く
③関係の深いアイコンを線で結ぶ

④「環境」「社会」「経済」の3つの視点から記事分析を行う。

・「誰一人取り残さない」ということが基本的なコンセプトだ。記事分析をおこなう中で、「これは誰か取り残されてしまうかもしれない」と誰かの顔(動物や自然などでも)が見えることが大事だ。
人によって記事の分析の仕方は違うため、自分でその記事の評価を行う。
・SDGsマッピングづくりは、基本的には自分で主体的に記事を選び分析する。これを繰り返すと、自分自身で意識をして選んだ記事のデータベースが出来てくる。興味を持って選んでいくと、自分が何に興味を持っているのか見えてくる。
・課題が見つかると、自分の生活そのものが持続可能なのか、自分自身の持続不可能性が見えてくるなど、自分のことを振り返ることができる。

【新聞社NIE事例紹介】

「新聞活用で楽しく深い学びへ」/山本 直樹(山陽新聞社岡山本社 NIE推進部)
 ・NIE推進の歩み
 ・岡山県NIE推進協議会の構成団体、事業、NIE実践指定校、公開セミナー等について 
 ・さん太しんぶん館紹介

「中国新聞のNIEの取り組み」/伊藤 一亘(中国新聞社 読者広報部)
 ・中国新聞社NIEの取り組み内容(出前授業、「ちゅーピーパーク」新聞印刷工場見学、
  みんなの新聞コンクール、ちゅーピー子どもニュースくらぶ、ちゅーピー子ども新聞教室、
  赤ヘル記者、デジタル対応について)
 ・NIE推進協議会について 

 

新聞一紙を丸ごと読み、SDGs付箋を使って思考を見える化

【参加者の感想】
「有意義な時間でした。SDGsを単独で取り上げるのではなく、“結果としてつながっているよね”という発見を生徒たちにさせていきたいです」
「実践的なワークショップを体験できたので、現場でもすぐ活用できそうです」
「感染防止に注意しながら開催していただき感謝です」

この記事の発信者

濱長真紀(はまなが まき)

コーディネーター・ESD統括

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