情報

環境省
 昨年度公表した植物・菌類に引き続き、最新の環境省レッドリストとして、「第5次レッドリスト(鳥類及び爬虫類・両生類)」を公表します。
 本レッドリストにおいて、鳥類は計170種が掲載され、うち108種が絶滅危惧種と評価されました。また、爬虫類・両生類は、計138種が掲載され、うち96種が絶滅危惧種と評価されました。
他の分類群については、令和8年度以降、順次公表する予定です。

​環境省レッドリストについて

 環境省レッドリストは、日本に生息・生育する野生生物を対象に、専門家で構成される検討会において、生物学的観点から種又は亜種(以下まとめて「種」という。)の絶滅の危険度を客観的に評価して、リストにまとめたものです。
 絶滅危惧種の保全施策は、生物学的知見に立脚し、時機を失うことなく適切に実施する必要があります。このため環境省では、こうした施策に必要な基礎的な情報として、各種の絶滅危険度の現状を把握すべく、おおむね5年ごとにレッドリストを見直しています。また、レッドリストに掲載された種の生息・生育状況等を取りまとめ、編纂した「レッドデータブック」を併せて作成しており、こちらはおおむねね10年ごとに見直しています。
 レッドリストに掲載された種には、捕獲規制等の直接的な法的効力が生じるものではありませんが、社会への警鐘として広く情報提供することにより、環境アセスメントを始めとする様々な事業活動における環境配慮や、国及び地方公共団体におけるあらゆる自然環境保全施策の検討にかかる基礎資料として活用されており、近年、社会経済活動や関連政策におけるレッドリストの重要性がますます高まっています。
 
 レッドリスト及びレッドデータブックの詳細は、以下のホームページをご覧ください。
 いきものログ―レッドリスト・レッドデータブックhttps://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/
 
参考:環境省レッドリストのカテゴリー

カテゴリー 定義と基本概念
絶滅
Extinct (EX)
我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
野生絶滅
Extinct in the Wild (EW)
飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種

 

 

 
絶滅危惧IA類
Critically Endangered (CR)
深刻な絶滅の危機に瀕している種
(現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なものであって、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)
絶滅危惧IB類
Endangered (EN)
絶滅の危機に瀕している種
(現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なものであって、IA類(CR)ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)
絶滅危惧II類
Vulnerable (VU)
絶滅の危険が増大している種
(現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、「絶滅危惧IA類(CR)」または「絶滅危惧IB類(EN)」のカテゴリーに移行することが確実と考えられるもの)
準絶滅危惧
Near Threatened (NT)
存続基盤が脆弱な種
(現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位カテゴリーに移行する要素を有するもの)

 

情報不足
Data Deficient (DD)
カテゴリーを判定するための情報が不足している種
(現時点での絶滅危険度は確定できないが、今後情報が得られれば「絶滅危惧」等になり得るもの)

 ※「情報不足(DD)」は、情報は不足しているものの一定程度の絶滅リスクが懸念されることを意味しており、実際の絶滅リスクは準絶滅危惧(NT)よりも高い可能性があることに留意。

付属資料

絶滅のおそれのある地域個体群
Threatened Local Population (LP)
孤立した地域個体群で、絶滅のおそれが高いもの

第5次レッドリスト(鳥類及び爬虫類・両生類)について

 環境省では、前回の第4次レッドリスト(レッドデータブック2014及び一部改訂版であるレッドリスト2015~2020を含む。)の公表後、令和2年度から第5次レッドリストの作成作業を行ってきました。
 第5次レッドリストでは、海洋生物を含む全16の分類群(①哺乳類 ②鳥類 ③爬虫類・両生類 ④淡水魚類 ⑤海水魚類 ⑥サンゴ類 ⑦昆虫類 ⑧甲殻類 ⑨軟体動物 ⑩陸域その他無脊椎動物 ⑪海域その他無脊椎動物 ⑫維管束植物 ⑬蘚苔類 ⑭藻類 ⑮地衣類 ⑯菌類)を対象に評価を進めています。
 今般、そのうち、②鳥類及び③爬虫類・両生類について、第5次レッドリストにおける評価作業を終了し、とりまとめました(なお、⑫~⑯に該当する植物及び菌類の各分類群については、昨年3月に第5次レッドリストを公表しています)。
 鳥類及び爬虫類・両生類の第5次レッドリストについては、以下からダウンロードしてご活用ください。
 残る分類群については、令和8年度以降、評価作業の終了した分類群から順次公表します。
 
第5次レッドリスト(鳥類及び爬虫類・両生類) ( )内は掲載種数

分類群 レッドリスト レッドデータブック
鳥類(170種) PDFファイル【PDF 291KB】 PDFファイル【PDF 35.2MB】
爬虫類・両生類(138種) PDFファイル【PDF 289KB】 PDFファイル【PDF 36.5MB】
※電子版のみの公表となっており、紙媒体は発行しておりません。

 
 また、生物多様性センターHP「いきものログ」内にて、レッドリスト掲載種を検索することができます。
 いきものログ―環境省第5次絶滅危惧種検索
 https://ikilog.biodic.go.jp/rl_rdb/list/

 第5次レッドリストでは、「レッドリスト作成の手引」(別添1)に基づき、全分類群で統一的な評価を行っています。
 評価の結果、レッドリスト2020と比較して、絶滅危惧種の数が鳥類では合計して10種増加、爬虫類・両生類では12種増加しました(うち爬虫類が1種減少、両生類が13種増加)。
 絶滅危惧種が増加した要因は様々なものが挙げられますが、鳥類については、開発行為による生息環境の悪化や外来種による捕食、両生類については、分類学的研究の進展により種が細分化され、1種あたりの絶滅危険度が相対的に高まったこと等が挙げられます。
 個別の種について見ると、タンチョウやアマミヤマシギなど、長年の保全活動や生息環境改善事業の結果、個体数が回復して絶滅危惧種から除外された種があります。一方で、ハマシギやニホンイシガメなど、かつては全国の干潟や水田等に広く普通に分布していた種が、それらの環境の消失・悪化などにより、今回新たに絶滅危惧種と評価されたものもあります。
 詳細については、各分類群のレッドデータブックの「レッドリスト見直しで明らかになった点」を御参照ください。
 なお、現時点における最新版の環境省レッドリストにおける絶滅危惧種の総計は、3,587種となりました。

カテゴリーが変更された種の例とその概要

【和名】アマミヤマシギ
【カテゴリー】絶滅危惧Ⅱ類(VU) → 準絶滅危惧(NT)

【概要】
 奄美大島、加計呂麻島、徳之島などで繁殖する日本固有種。フイリマングース等の外来捕食者や森林伐採による生息地の減少等によって個体数が減少したと考えられるが、奄美大島におけるフイリマングースの根絶や森林伐採量の減少による森林の回復に伴い、近年、個体数は緩やかな回復傾向にある。
 これらの結果、第5次レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類(VU)から準絶滅危惧(NT)にカテゴリーが1段階引き下げられ、絶滅危惧種から除外された。
 なお、奄美大島固有種のオオトラツグミも、アマミヤマシギと同様にフイリマングースの根絶等の結果、近年個体数が回復傾向にあり、第5次レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類(VU)から準絶滅危惧(NT)にカテゴリーが1段階引き下げられ、絶滅危惧種から除外された。

 
【和名】タンチョウ
【カテゴリー】絶滅危惧Ⅱ類(VU) → 準絶滅危惧(NT)
【概要】
 北海道に分布する個体群と、ユーラシア大陸の東部に分布する大陸の個体群に分けられる。北海道の個体群は留鳥。国内の個体群について、1952年時点で確認された個体数は僅か33羽にまで減少したが、その後、積極的な保全活動の成果によって徐々に個体数が回復し、2004年2月には1,000羽を超え、2025年1月の調査では、1,927羽が確認された。また近年の各種の調査結果から、現在国内に生息する本種の成熟個体(成鳥)数は1,200羽程度と試算され、実際にはこれより更に多い可能性も高い。
 これらの結果、第5次レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類(VU)から準絶滅危惧(NT)にカテゴリーが1段階引き下げられ、絶滅危惧種から除外された。【和名】トキ
【カテゴリー】絶滅危惧ⅠA類(CR) → 絶滅危惧ⅠB類(EN)
【概要】
 かつては、ロシアから中国南部、朝鮮半島、日本、台湾にかけて分布していた。国内では江戸時代までは全国的に分布していたと考えられるが、明治から大正時代にかけて激減し、1981年に佐渡島に生き残っていた国内最後の5羽が捕獲され、我が国では野生絶滅となった。その後、1999年に中国から贈呈された2羽のトキとその後追加で提供されたトキによる飼育下繁殖が順調に進められ、佐渡島で2008年から再導入が開始された。2024年12月末時点で、佐渡の野生下には、放鳥個体133羽、放鳥個体を親とする野外生まれ個体443羽の計576羽が生息すると推定されている。
 これらの結果、第5次レッドリストでは、カテゴリーが1段階引き下げられ、絶滅危惧ⅠB類(EN)と評価された。

【和名】アカモズ
【カテゴリー】絶滅危惧ⅠB類(EN) → 絶滅危惧ⅠA類(CR)
【概要】
 東アジアに広く分布する種アカモズのうち、主に日本の中国地方以北で繁殖する個体群が亜種アカモズとされている。1970年代頃までは、東京都23区内を含む国内の様々な地域で繁殖が確認されていたが、本亜種の繁殖分布域は1910年代から2000年代にかけて90.9%縮小したと考えられている。個体数についても1990年代までに大きく減少し、国内の成鳥個体数は、2019年時点で332個体、2022年時点で184個体と推定されている。その結果、現在では極度の個体数の減少によって亜種の存続に影響しかねない可能性がある。減少要因としては、一部地域における成鳥の性比の極度な偏り、各種開発による繁殖地の喪失等が指摘されている。
 これらの結果、第5次レッドリストでは、カテゴリーが1段階引き上げられ、絶滅危惧ⅠA類(CR)と評価された。

【和名】ハマシギ
【カテゴリー】準絶滅危惧(NT) → 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
【概要】
 日本では、越冬期の渡り鳥として、秋期から春期に全国で観察され(国内では繁殖しない)、沿岸の干潟、砂浜、潟湖や内陸の水田、河川などを採餌地として利用する。環境省が実施した「モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査2004-2017年度」で得られた調査結果を基にした分析の結果、2000年時点と2017年時点を比較して、国内で確認される個体数が通年平均で約40%減少している可能性があり、近年、個体数が減少傾向にある。本種の減少要因としては、干潟・湿地の開発による採餌場所や餌動物の減少、農耕地の乾田化、放棄水田の草地化、農法や農業環境の変化による生息地の減少などが挙げられる(ただし、本種のように国境を跨いて長距離を渡る種については、日本国内のみにその減少の要因を求めることが困難な場合もある点に留意する必要がある。)。
 これらの結果、第5次レッドリストでは、準絶滅危惧(NT)から絶滅危惧Ⅱ類(VU)にカテゴリーが1段階引き上げられ、初めて絶滅危惧種と評価された。

【和名】コジュリン
【カテゴリー】絶滅危惧Ⅱ類(VU) → 絶滅危惧ⅠB類(EN)
【概要】
 本州北部並びに中部及び九州に生息する日本固有亜種。本亜種は、放牧や野焼き、採草など定期的な撹乱によって維持される、草丈が低く乾燥した明るい草原を好み、繁殖できる生息地の条件が非常に限られる。生息環境が安定している地域もあるが、全国的にこのような環境は減少傾向にあり、現在、本亜種の各個体群は、東北地方の岩木川流域、仏沼周辺、八郎潟、最上川下流域、新潟県福島潟、利根川下流域に分断されていると考えられる。
 これらの結果、第5次レッドリストでは、カテゴリーが1段階引き上げられ、絶滅危惧ⅠB類(EN)と評価された。
 
【和名】ニホンイシガメ
【カテゴリー】準絶滅危惧(NT) → 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
【概要】
 本州、四国、九州及び周辺島嶼に生息する日本固有種。小川や河川、池などに生息し、湿地や水田でも見られる。河川改修工事や水田の圃場整備による生息環境の減少、ペット取引を目的とした乱獲、特定外来生物であるアライグマによる捕食、ミシシッピアカミミガメ等の外来種との資源をめぐる競争、クサガメとの交雑による遺伝的撹乱の影響等により、各地で減少傾向にある。

 これらの結果、第5次レッドリストでは、準絶滅危惧(NT)から絶滅危惧Ⅱ類(VU)にカテゴリーが1段階引き上げられ、初めて絶滅危惧種と評価された。

今後の対応

 環境省では、新たなレッドリスト・レッドデータブックを行政機関や社会一般に広く共有し、各種開発計画等における生物多様性への配慮や保全活動等を一層促進していくとともに、絶滅のおそれのある野生生物の種の保全への国民の理解促進を深めていきます。その上で、必要に応じて、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種への指定、保護増殖事業の実施等を検討し、ネイチャーポジティブ実現に向けた取組を一層推進していく考えです。
 なお、今回の見直しでは、既に国内希少野生動植物種に指定されている種の中で、個体数の回復等により絶滅危惧種から除外された種もありますが、こうした種についても、国内希少野生動植物種の指定は継続しつつ、引き続き生息・生育状況を注視します。
 レッドリスト・レッドデータブックは、絶滅危惧種の保全に関するあらゆる施策に必要な基礎的資料として重要ですが、他方で、レッドリスト・レッドデータブックに掲載されることにより、かえって商業目的や観賞目的等による乱獲・盗掘等の対象となるおそれが増大することが懸念される側面もあります。レッドリストやレッドデータブックに掲載された種を将来にわたって存続させていくには、その種が掲載された意味を、国民の皆様を始め、多様な主体により、真摯に考えていただき、法的規制の有無にかかわらず、絶滅のおそれが生じている種のむやみな捕獲・採取は可能な限り避けていただくことが重要です。

連絡先

環境省 自然環境局 野生生物課 希少種保全推進室
直通:03-5521-8353

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お問い合わせ先
環境省 自然環境局 野生生物課 希少種保全推進室
電話番号
03-5521-8353
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