2.今般、3つの生態系(高山帯、森林・草原、サンゴ礁)で実施した調査について、「とりまとめ報告書」に掲載予定の内容から興味深い話題を抽出し、「速報版」を作成しました。
3.7つの生態系/分類群の調査について4回目(一部の生態系/分類群については3回目)となる「とりまとめ報告書」全文の公表は、令和6年9月から12月にかけて、生態系/分類群ごとに行う予定です。
■モニタリングサイト1000の概要
■「とりまとめ報告書」(速報版)の概要
速報版の主な内容は以下のとおりです。なお、速報版は、生物多様性センターのホームページで公開します。
(1)高山帯調査
<高山性の地表徘徊性甲虫の減少>
土壌生態系の指標として、白山の4つの地点で地表徘徊性甲虫の調査を行いました。その結果、特に高山性種の種数及び個体数の減少が認められました。また、クロナガオサムシなど、主に低標高地に生息する種が新たに確認されました。(資料1)
(2)森林・草原調査
<温暖な地域の群集構成に近づく傾向>
全国の代表的な森林タイプ、気候帯を網羅するように配置した調査地で、森林・草原生態系の変化を指標する生物群として、樹木、地表徘徊性甲虫、鳥類の調査を実施しました。
樹木・地表徘徊性甲虫・鳥類ともに、全国の森林でより温暖な地域の構成に近づく傾向が見られました。(資料2)
(3)サンゴ礁調査
<サンゴ礁及びサンゴ群集域での海水温の上昇傾向及び大規模な白化現象>
種子島以南の海域で見られる主なサンゴ礁及び種子島より高緯度域で見られるサンゴ群集域で、サンゴが生息する水深2~8mの海水温を測定するとともに、サンゴの白化率を調査しました。
ほとんどの調査地で、2003-2022年の20年間で有意な海水温の上昇傾向が見られ、2016-2017年には夏季の高水温による大規模な白化現象が見られました。(資料3)
■「とりまとめ報告書」全文の公表スケジュール
・令和6年9月には、モニタリングサイト1000の開始から20年間の調査で明らかになった日本の自然の変化・異変をわかりやすくまとめた「モニタリングサイト1000とりまとめ報告書(概要版)」を公表し、同年12月には、同概要版にイラスト等を加えた「とりまとめ報告書概要版パンフレット」を作成する予定です。