環境省は、地域ぐるみでの中堅・中小企業に対する脱炭素経営支援体制構築を目的とした支援事業として、令和6年度「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」への参加団体を決定しました。
目的・経緯
我が国の雇用の約7割を支える中小企業は、日本全体の温室効果ガス排出量のうち約2割程度を占めており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、中堅・中小企業を取り残すことなく、脱炭素経営に向けた取組を推進していくことが重要です。
一方大企業中心にサプライチェーン全体の脱炭素化が求められることを背景に、取引先へCO2排出量の可視化・削減を求める潮流が着実に高まっています。今後もその流れが拡大した際に、脱炭素経営対応が遅れていると、取引上のリスクとなる恐れがあることから、中堅・中小企業にも早期の対応が求められています。
また、先行して脱炭素の視点を織り込んだ企業経営(脱炭素経営)に取り組む中小企業では、優位性の構築、光熱費・燃料費の低減、知名度・認知度向上、社員のモチベーションアップ、好条件での資金調達といったメリットを獲得しています。
実際に企業が脱炭素経営に取り組む際には、「知る」、「測る」、「減らす」の3ステップを進めることが重要ですが、多くの中小企業はこうした取組に着手できていない状況にあります。
このため、普段から地域の中堅・中小企業との接点を持っている地域金融機関等や商工会議所をはじめとする経済団体その他中堅・中小企業の経営支援に携わる者等(以下「支援機関等」という。)がプッシュ型で支援をする事が効果的であり、昨年度の地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業においてもその重要性が確認されました。
他方で昨年度事業では、企業の脱炭素経営の取組ステップ(「知る」「測る」「減らす」)のうち、各支援機関によって得意とする支援メニューの取組ステップが異なることが明らかとなっています。この様な背景から、地方公共団体及び支援機関等が単独ではなく連携して地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制を構築することが有効です。
本事業ではこうした状況を踏まえ、昨年度に引き続き、地域ぐるみでの中堅・中小企業に対する脱炭素経営支援体制の構築と地域ぐるみでの支援体制における中堅・中小企業への支援メニューの拡充を図り、先進的なモデル事例を創出することを目的とし、令和6年度に実施する「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」について、令和6年5月17日から同年6月14日まで参加団体を公募しました。審査の結果、10件の参加団体を決定しました。
(添付資料1)
採択参加団体
【実施エリア】 | 【代表申請者】 |
---|---|
千葉県銚子市 | 銚子信用金庫 |
埼玉県狭山市・所沢市・飯能市・入間市・日高市 | 狭山市 |
長野県長野市 | 長野市 |
石川県七尾市 | 和倉温泉 創造的復興まちづくり推進協議会 |
和歌山県 | 和歌山県 |
岡山県 | 国立大学法人岡山大学 |
香川県三豊市 | 三豊市カーボンニュートラル推進協議会 |
愛媛県今治市 | 今治市 |
福岡県北九州市 | 北九州市 |
福岡県古賀市 | 古賀市 |
※その他共同申請者、事業概要については添付資料1に記載しております。
「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」について
地域ごとに脱炭素経営支援体制構築の取組状況が異なるため、事務局は地域の状況にあわせて下記二つのステージにおける支援を行い、支援の詳細は各参加団体と調整の上決定します。
- ビルドアップステージ:これから地域ぐるみでの支援体制を構築する
- ステップアップステージ:既存支援体制/機能向上、中小企業の取組拡大を図る
① ビルドアップステージの支援内容
- 脱炭素化に関する地域ビジョンの整理
- 推進体制の構築
- 支援機能・取組の検討
② ステップアップステージの支援内容
- 中小企業支援メニューの強化
- 支援機関メンバー向けマニュアルの作成
- 産業シフトに対する企業対応方針の検討
- ロードマップ策定に向けた検討 等