取組紹介

エリア 広島県

【主催事業報告】EPOちゅうごく10周年記念シンポジウム

主体
テーマ
方法

EPOちゅうごく10周年記念シンポジウム
生物学者長沼毅がと(説・解)く「我々は地球の危機が救えるか」

【日  時】平成27月3月5日(木)13:30~16:00
【会  場】広島YMCA国際文化センター 本館地下1階 国際文化ホール
      (広島市中区八丁堀7-11)
【内  容】12:30~ 受付開始
      13:30~ 開会挨拶 環境省中国四国地方環境事務所長 築島 明 氏
      13:40~ 記念講演 生物学者 長沼毅 が と(説・解)く『我々は地球の危機を救えるか』
           広島大学大学院生物圏科学研究科 准教授 長沼 毅 氏
      15:30~ EPOちゅうごくの歴史を語る 「これまでの10年、これからの10年」
           EPOちゅうごく 事務局長 高尾 清治
      16:00~ 閉会挨拶 NPO法人 ちゅうごく環境ネット 理事長 堀之内 功
【主  催】環境省 中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)
【後  援】広島県,広島市,広島商工会議所,NHK広島放送局,中国放送,広島テレビ,
      広島ホームテレビ,テレビ新広島,FMはつかいち76.1MHz,中国新聞社、広島エフエム放送

開会挨拶 環境省中国四国地方環境事務所長 築島 明 氏

EPOちゅうごくは、第一号として平成17年1月22日に開所し、この1月で10周年を迎えることができた。この間、地域における環境保全活動の支援、環境パートナーシップの推進、これらの情報の収集・発信に取組んできた。環境保全活動が中国地方各地で活発に行なわれるようにするには、まだまだやるべき事があるかと感じている。10周年を機に、EPOの更なる活性化を図っていきたい。

基調講演『生物科学者 長沼 毅がと(説・解)く 我々は地球の危機を救えるか』
広島大学大学院生物圏科学研究科准教授 長沼 毅 氏

地球の危機について、地震・津波は大きな被害を与えるが地球は壊れないと考え除外して、8つのカテゴリーに分けて説明された。

①地球温暖化 
2007年の予測では、2013年に北極の氷はなくなるとのBBC予測があったが、実際は海氷の面積は倍増となった事実を基に、温暖化は2012年で頭うちとなっているのではとの予測もあるが、実際は分からない。
その影響で絶滅の危機に瀕しているシロクマだが、氷がなくなった場合、シロクマはヒグマと交配し、ハイブリッドが生まれ生き延びる。これを何代も繰り返しているうちに、純粋のシロクマの遺伝子をもつものが誕生し、地球が冷えてきたときに、また現在のようなシロクマの生態系が出来るだろう考えられる。温暖化により様々な変化が生じるが、文明は滅びないこと、絶滅の恐れはないことが強調された。

②気候の激甚化
昨年の8月20日の土砂災害事例、昭和20年9月17日枕崎台風の例を説明され、非公認であるが856hPa、広島県だけで死者・行方不明2,012人であったこと、これが広島原爆投下の42日後のことで、連発して発生する災害は恐ろしいとの見解が述べられた。阿久根台風、伊勢湾台風など気候は激甚化している。

③地球寒冷化(氷期) 
地球温暖化と真反対のテーマであるが、本日の地球の危機というテーマの中で、かなりのウェイトを占めているようであった。温暖化と言われているが、実は258万年に新しい氷河期に入っている。氷期と間氷期は繰り返しており、最終氷期は1.2万年前に終っている。氷期10万年、間氷期1万年のサイクルであるならば、現在は氷期に向かっていると考えられる。傾向としては1,000年で0.31℃下がっている事実、中世温暖期(950~1250)の例、続けて小氷期(1550~1850)が訪れたことから、地球は長いスパンで見ると現在氷期に向かっているのではないかとの見解。
地球の過去の大気情報(気温、ダスト、二酸化炭素情報等)は、南極大陸の氷から入手することが出来る。この氷から得られた情報から、過去のパターンをコピペすると、今後は地球が氷期に向かっていると考えられ、IPCCの委員も人間生活のお蔭で氷期の到来が2~3万年遅れるとの見解を持っており、米国も同じ考えである。氷期が訪れると、農業地帯が南へ下がり、西欧文明が衰退し、イスラム文明が栄える。
但し、人間活動が原因で、この数十年間は地球は温暖化しているのではないだろうか。

④巨大噴火
地球は巨大噴火を繰り返してきているが、大爆発によって成層圏に噴煙が舞い上がり地球全体を覆うと『火山の冬』が到来する。7万4000年前のトバ火山の規模は凄まじく、このトバ超噴火による火山の冬の影響で、現在73億人の人類が滅亡の危機に瀕し、遺伝子解析の結果7万年前に11,000人まで減少したことが予測されている。現在予測されている次の噴火は、アメリカイエローストーンとの見解。

⑤巨大隕石
宇宙空間から地球に降り注ぐ隕石の歴史から、最近の例としての2013年2月ロシアチェリャビンスクの例を紹介。直径17m、質量1万トン、秒速18kmであるが、6,550万年前の恐竜絶滅を招いたチクシュルーブ隕石(直径10km 秒速20km)の例、ツァーリ・ボンベは広島の3300倍の200万倍の規模の隕石であった。

⑥巨大太陽フレア
地球の磁場とオーロラの発生、オーロラ期北極・南極に同時に発生していることが21世紀になって解明された。巨大フレアが発生すると宇宙空間に滞在している宇宙飛行士への影響は深刻。太陽嵐により、PCが破壊され、東京タワー、スカイツリーはおそらく巨大なローソク状態となると予測される。また、銀行のサーバーが破壊されることから、日常的な通帳記帳は大切。

⑦ガンマ線バースト
太陽はおよそ100億年の寿命を持っている。これを僅か一日ですべてのエネルギーを放出する現象がガンマ線バーストと呼ばれるものであり、等方的・等時的に平均一日3個のバーストが発生している。もし、これが地球を向いていたら…。 

⑧宇宙人襲来
最後は宇宙人襲来の話であった。長沼先生としては、まじめに考えて居るとのことであり、対処の仕方が国際的に決まっているとの情報提供であった。

質疑応答

Q.我々としてはこれらの危機に対して何が出来るか。
A.地球が残っても人間が滅んでしまったら仕方がない。人間が救われること、つまり戦争をしないこと。

Q.生物学的見地からハイブリッドは遺伝子を残せるか。
A.シロクマ-ヒグマというレベルは可能と考えているが、複雑なハイブリッドは種としては維持できない。

Q.夏の焦土化、豪雪、土砂災害と頻発しているがどのように考えれば良いのか。
A.気候システムが変わってきている途中て振れ幅が大きい現象の一つと捉えることが出来る。新しい状態を行きつ戻りつ、その後どちらかに辿り着き安定していくのではないか。

EPOちゅうごくの歴史を語る「これまでの10年、これからの10年」
EPOちゅうごく 事務局長 高尾 清治

【EPOちゅうごくの 設立】
2005年(平成17年)1月22日設立では、環境省中国地区環境対策調査官事務所長の片山千晶様によるテープカットの様子、当時の事務所の所在地は現在と違って東急ハンズ隣の日本生命広島第二ビル2階(広島市中区八丁堀16-11)であった。環境大臣政務官の能勢和子様の挨拶の様子、開設記念シンポジウム「広がれパートナーシップ−中国地方から環境を考える−」の様子(場所:広島市まちづくり市民交流プラザ、212人参加)、運用を行なっているNPO法人ちゅうごく環境ネットの当時の理事長 福本健氏による開会挨拶の様子や当時の会場の一コマの写真、当時の案内チラシ、鳥取環境大学教授の吉村元男様による基調講演(地域の環境活動とパートナーシップ)の様子が紹介された。

運営団体については、NPO法人等が運営しており、平成16年が初年度で3年置きにコンペがある。第一期(平成16~19年度)、第二期(平成20~22年度)は、NPO法人ちゅうごく環境ネット、第三期(平成23~25年度)は、NPO法人ひろしまNPOセンター、第四期(平成26年度~)は、再びNPO法人ちゅうごく環境ネットが運営団体となっている。

【EPOの整備状況】
環境省は、平成14年12月に出された中央環境審議会の「環境保全活動の活性化方策について(中間答申)」及び平成15年7月に議員立法により成立した「環境保全活動・環境教育推進法」を踏まえ、環境パートナーシップ推進の拠点を全国に設置することとなり、平成16年度から三か年かけて、概ね地方環境事務所(全国7か所)のブロックに「地方環境パートナーシップオフィス(地方EPO)」を設置した。
平成16年度は、中国(広島)、近畿(大阪)、中部(名古屋)、平成17年度は、北海道(札幌)、東北(仙台)、平成18年度は、四国(高松)、九州(熊本)が設置された。中心は東京にあり1996年に「地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)」が設立されており、全体を統括している。
EPOの実施する事業のイメージは、「①パートナーシップの基盤作り」「②情報収集、発信、つなぎ」「③パートナーシップを通じたNPO活動支援」という大きな役割を担っている。

【EPOちゅうごく業務の概要】
平成22年度の仕様書より業務の内容として
(1)パートナーシップ推進業務(①様々な主体間における連携の促進、②パートナーシップ形成の推進等に係る人材育成)
(2)情報センター業務(①環境関連の書籍・資料の収集、提供、②各主体の取組みに関する情報の収集、提供、③環境活動展示の開催)
(3)地域活動支援業務(①会議・交流等の場の提供、②NPO活動の基盤強化、③助言・相談業務)
(4)中国環境パートナーシップオフィスの維持・管理
(5)中国環境パートナーシップオフィス運営検討委員会の開催
(6)管理運営計画の策定等が紹介され、現在もほぼ同じ業務内容であることが説明された。

この記事の発信者

EPOちゅうごく 編集部(へんしゅうぶ)

スタッフ

トップへ