取組紹介

エリア 鳥取県

【主催事業報告】循環型社会形成に向けた鳥取セミナー「食糧資源循環と廃棄物減量」

主体
テーマ
方法

循環型社会形成に向けた鳥取セミナー「食糧資源循環と廃棄物減量」

【日  時】平成27月1月25日(日)13:00~16:30
【会  場】とりぎん文化会館(鳥取県立県民文化会館)第2会議室
      (〒680-0017 鳥取市尚徳町101-5) 
【主  催】環境省 中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)
【後  援】鳥取県、鳥取市
【プログラム】
 12:30~ 受付開始
 13:00~ 開会挨拶 環境省中国四国地方環境事務所環境対策課長 藤岡満樹氏
 13:10~ 基調講演『生かそう資源~食品、小型家電等を例として』
      鳥取環境大学環境マネジメント学科特任教授 / サステイナビリティ研究所長 田中勝氏
 14:30~ 地元企業による取組事例紹介 
      ① 因幡環境整備(株) 代表取締役 國岡 稔氏
      ② 三朝温泉観光協会会長 新藤 祐一氏((株)新藤代表取締役)
 15:00~ 休憩
 15:10~ パネルディスカッション
      ●コーディネーター:鳥取環境大学経営学部准教授 石川真澄氏
      ●アドバイザー:鳥取環境大学環境マネジメント学科特任教授 田中勝氏
      ●パネリスト:
       ・環境省中国四国地方環境事務所廃棄物/リサイクル対策課長 役田 昌幸氏
       ・鳥取県生活環境部 循環型社会推進課長 住田 明信氏
       ・因幡環境整備(株) 代表取締役 國岡 稔氏
       ・三朝温泉観光協会会長 新藤 祐一氏((株)新藤代表取締役)
 16:20~ 質疑応答
 16:30~ 閉会挨拶 EPOちゅうごく事務局長 高尾 清治

開会挨拶:環境省中国四国地方環境事務所 環境対策課長 藤岡 満樹氏

今期からEPOちゅうごくの活動を中国地方全般に広めるために、各県に2名ずつEPOスタッフとして配置し、相談対応など地域の環境保全活動を支援おり、鳥取県については、永田氏、山本氏にお願いしている。各県それぞれの環境保全上の課題、トピックスをテーマにセミナーを開催している。
鳥取県では、鳥取県独自の環境マネジメントシステムTEAS(テス)を導入し、環境配慮型の企業及び人材育成とともに持続可能な地域社会の構築を推進し、これまで多くの事業者が環境配慮型の経営に取組んでいる。
本日は、より一層の普及を目指し、食糧資源循環と廃棄物減量をテーマにセミナーを開催し、参加の皆様の日頃の業務遂行の一助になればと思っている。

基調講演 『生かそう資源 ~ 食品、小型家電等を例として』
鳥取環境大学環境マネジメント学科特任教授、サステイナビリティ研究所長 田中 勝氏

地球も健康でないと人間も健康でない。健康な地球、持続可能な社会が大事だが、今、地球は元気がない。3つの危機に直面している。
・ 一つ目は地球温暖化で、化石燃料を使わない低炭素社会の実現を目指していかなければならない。
・ 二つ目は資源の浪費とごみ問題で、3Rの推進などによる循環型社会の実現が必要。
・ 三つ目は生態系の破壊で、自然環境と調和した開発が必要。
持続可能な社会の実現に向けては、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の三つの社会を統合的につくることを進めていくが、その中で、廃棄物マネジメントがそれぞれに係り大事になる。

【循環型社会のための廃棄物マネジメント】
世界の人口、GDPは増加し続け、一人当たりの資源消費量も上がっており、資源の枯渇とごみ埋め立場の減少が大きな課題。循環型社会形成推進法では、資源を使わない、リサイクルが目的、小型家電を含めると6つのリサイクル法ができた。循環型社会は、経済的、技術可能なところで合理的な方法で行うことが大事で、3Rの施策が資源の保全になるどころか資源を大量消費してしまうこともある(リサイクル貧乏)。
ごみ処理の基本は、公衆衛生の向上、生活環境の保全。整備された設備での焼却は、公衆衛生の向上、効率的なごみの減量、熱エネルギーを資源化、発電利用による二酸化炭素の低減にも寄与している。

【循環型社会を目指した3Rの取組】
廃棄物とは、不要なもの、マイナスの価値のもの、有価で取引されないもの。価値は人によって、ものによって違う。本人は価値がなくても世の中で認められるものはリサイクルショップで取引される。豊かな生活を送る上で出ているものを、ごみと考えることができる。
消費者が出来ることは、消費段階の計画的な購入・消費生活、長期耐用商品の購入と消費、マイバッグ持参、買い控え、排出段階の集団回収参加、不要品交換・バザーの活用、価値のある資源ごみの分別排出
ごみ処理の原則は、汚染者負担の原則(PPP)、ごみ処理は、住民の協力を得て市町村の責任で実施しているが、従来のエンド・オブ・パイプ・アプローチ(排出された廃棄物を、収集・運搬して焼却や埋立て処分する伝統的な廃棄物処理)ではなかなか変わらない。PPPから拡大生産者責任(EPR)ライフサイクル・アプローチ(生産者から、流通業者、消費者が連携して問題解決に当たること)で社会を変えることが必要。

【処理コストの高い理由】
ごみ処理規模が小さい、自治体毎に整備している、広域化が進まない、安全な施設を作るための住民の受け入れのハードルが高い、産廃など他の廃棄物を受け入れられないなど。
廃棄物が発生しないような設計、発生抑制、再利用、再生利用、リース、シェアリングなど生産者の廃棄物への配慮が必要。例えば、牛乳びん、ペットボトルの軽量化、再利用やリサイクル、スーパー等のマイバック持参の呼びかけ、不要な包装を避けるスマートラッピング、段ボール製容器の3R、3R社会関連ビジネス(リユース業)など。

【容器包装リサイクル法】
処分場が無い、焼却施設の整備されないところでは、分別回収してリサイクルするしかない自治体を支援するための制度。分けても売れない循環資源を生産者に引き取らせ、リサイクルを義務付けたのがこの法律。リサイクル率の向上ではなく、ごみ戦争(今は無くなった)の回避が目的。

【鳥取で活かそう資源】
鳥取環境大学の「生ごみと小型家電リサイクル推進策に関する研究」は、鳥取県内で生ごみの利活用を推進すること、平成25年から始まった小型家電リサイクルを県内へ普及することが目的。八頭町と因幡環境整備株式会社が行っている生ごみ液肥化事業を他の市町村へ展開できないか、現地調査、ヒアリング調査を行い、小型家電リサイクルでは、鳥取県中部ふるさと連合や秋田県大館市の先進事例に調査を行った。

平成26年度地域循環圏形成モデル事業(環境省)の「鳥取県東部における食品廃棄物の液肥化等による地域循環圏形成」は、一般家庭や公共施設、事業所から排出される生ごみを分別収集して液肥化し、それらを近郊の農業地域で利用して得られた農産物を小売店等で販売する循環モデルを核とした地域循環圏形成計画を策定すること、それに伴い、更なる可燃ごみの減量化を図ることを目的としている。対象地域は、八頭町約6,000世帯。
<事業のポイント>
・対象地域で行われている生ごみ分別回収について、取組を広げるための課題を明確にし、実行可能な対策を検討する。
・液肥化、農地での利用、農産地の販売、消費等のそれぞれの段階について、関係者間の情報共有と課題の抽出を行う。

地元企業による取組事例紹介

「生ごみを肥料に・・善循環の食品リサイクル〜鳥取県における食品リサイクルループの構築事例〜」
因幡環境整備株式会社 代表取締役 國岡 稔氏
 INABAの食品リサイクルループは、「生ごみ収集→液肥/堆肥へリサイクル→野菜栽培→販売消費」となっている。ループの入口部分は「生ごみ収集→液肥/堆肥へリサイクル」、ループの出口部分は「野菜栽培→販売消費」、ループの入口と出口のバランスが重要、特に出口が大事、農協やスーパーに相談したが話を聞いてもらえなかったため、野菜栽培、販売までINABAで実施するようになり、INABAで収集・肥料化・生産・販売の全てに係るようになった。

「環境と共生する三朝温泉〜循環型まちづくりをめざして〜」三朝温泉観光協会 会長 新藤 祐一氏
三朝町・鳥取県・三朝温泉旅館協同組合が生ごみ処理見直し検討委員会を設置し、平成19年「三朝町ゴミゼロアクションプログラム」を策定。これを受けて三朝温泉観光協会は、県・町から補助金を受けながら、生ごみ肥料化施設と廃食油のバイオディーゼル燃料精製施設を設置。20年度から本格的に事業実施スタート。

パネルディスカッション

はじめに、鳥取県生活環境部 循環型社会推進課長 住田 明信氏により、鳥取県における食品廃棄物の減量・リサイクルの取組状況として、県内のごみ排出量等の現状、食品廃棄物の発生抑制、循環型社会に向けた主な取組、民間団体による4R実践活動の取組、鳥取環境大学と連携した生ごみコンポスト普及活動の推進、とっとり食べきり協力店の取組、食べきり協力店モデル事業アンケート結果、市町村による生ごみの減量・リサイクルの取組の説明があった。
その後、パネルディスカッションの主な内容は次のとおり。
・実績に伴って効果が出ているプラス面をアピールして、見方を増やすこと。三朝温泉観光協会は2011年に、因幡環境整備は2014年に環境大臣賞を受賞されている。ピーアールし、事業に活かすと良い。
・10kg120円の話がまず出る。何がメリットなのか聞かれる。二酸化炭素排出量削減の話をしても実感がない。
・堆肥の出来るタイミングと農家の堆肥が欲しいタイミングが合わないことがある。量と時間の問題に苦労している。二次発酵に時間がかかる。また、利用者拡大のために堆肥の値段は安価にしている。
・農業こよみを使って紹介し、広めている。農場に来てもらって、立って話をすることが重要。野菜づくりでは、安定的な収量、形も揃うように工夫しながら進めた。リサイクル費用、液肥の販売、農作物の販売の3つの収入があるので成り立っている。農作物を手がけることで収益性アップになるので、これからも出口を広げていきたい。
・ 全循環を目指して行政も、もっと先頭になって旗を振ってほしい。その後、我々がフォローしていきたい。全循環は、それぞれの役割の中で完成していくもの。
・液肥など今の取組をどのように広げていくのかが課題。ボランティア活動が40%と活発で全国一位。東部の取組を中部、西部に広げていくことを進めて、鳥取県全体で取組めるようにしたい。
・小型家電リサイクルが始まる。年間65万トン、800億円。リサイクルするとペイする。山口県に次いで、鳥取県の取組は進んでいる。

~ パネルディスカッションを受けて会場からの意見 ~
・生ごみの分別は難しいという話だが、これは誤解ではないか。食べられるものと、食べられないものを分ければ良いので分かりやすい。八頭町の方は、キチンと分別していることは大変すばらしい。食品の安心・安全は添加物の無い食品に変えていく事が本当のリサイクルではないか。化学肥料で栽培した食品と比べて、オーガニックの安心・安全な食品は、比べることが出来ない価値がある。
・4年前から海藻を使って特別栽培を行っている。もっと農業と一体となってやっていただくと良い。農家の販路も含めた取組みとなっていくと良い。
・不耕起栽培や有機野菜を作っている。八頭町長は環境に熱心だった。自治体の町がしっかりしていれば上手くいく。

 

この記事の発信者

EPOちゅうごく 編集部(へんしゅうぶ)

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