近年、日本でもよく耳にするようになった「サステナブル」という言葉。豊かな自然と文化で知られるハワイで暮らすネイティブハワイアンには『サステナビリティの精神』が根付いていると言います。
私たちを取り巻く森、里、川、海といった自然環境が、私たちの生活とどうつながっているかを改めて認識するため、
ハワイパシフィック大学(HPU)でグローバルリーダーシップと持続可能な開発の修士号を取得し、現在所属しているLbE Hawaiiでは教育ディレクターとして活躍する丸王氏を講師に迎え、ハワイの事例やグループワークからサステナビリティを学ぶ体験型ワークショップを全2回開催しました。
第1回「環境保全と開発 ~あなたならどこで魚釣りをしますか?~」
【日 時】令和4年7月17日(日)13:30~16:30
【場 所】第一セントラルビル「Central Forest」
(岡山県岡山市北区本町6−30 第一セントラルビル 2号館8階)
【参 加 者】14名
【講 師】丸王 祐子氏(LbE Hawaii 教育ディレクター)
【主 催】中国地方ESD活動支援センター/
環境省中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)
【プログラム】
13:30~ 開会挨拶、講師紹介
13:35~ 【オリエンテーション】目的・ルール共有、自己紹介、アイスブレイク
13:55~ 【講義】ファシリテーターの自己紹介
14:15~ 【講義】サステナビリティとは何か?
14:35~ 【講義】ハワイの文化やサステナブルな事例の紹介
15:05~ 休憩
15:15〜 【ワークショップ】環境保全活動と経済活動の両立を学ぶシミュレーションゲーム
16:15~ まとめ、感想のシェアリング、閉会挨拶、事務連絡・アンケート記入
16:30 閉会
<企画の目標>
①森里川海の保全活動に係る主体や、森里川海に恩恵を受け生活している地域住民が、海外の環境保全活動や生物多様性保全活動に係る先行事例を通して、森里川海と自分たちの活動や生活の繋がりを改めて認識する。
②参加型ワークショップの中で、異なる立場から開発や経済活動を進める葛藤を体験することを通し、多角的な視点で課題を捉え、解決するために必要な協働とは何かを考える。
<企画の内容>
ハワイに根ざしたサステナビリティの精神を知り、ゲームを通して多角的な視点で課題を捉え、課題を解決するために必要なことは何かを考える、参加型ワークショップ。
□【講義】ハワイの文化やサステナブルな事例の紹介
ハワイのタロ芋畑の紹介動画から、タロ芋畑で営まれるサステナブルな取り組みや、「タロ芋と人間は兄弟である」といったハワイで世代を超え大切にされている、人間と自然が共にある考え方を知り、参加者同士で感想をシェアしました。
また、講師より「SDGsウェディングケーキ」について解説があり、自然環境という土台がなければ社会も経済も成り立たないという基本的な考え方を学びました。
□【ワークショップ】環境保全活動と経済活動の両立を学ぶシミュレーションゲーム
中米ベリーズの海岸を舞台に、サンゴやマングローブなどの自然とそこに住む人たちの暮らしを守りながら、ホテルや漁業で経済活動を進めていくシミュレーションゲームを行いました。
参加者はグループでゲームを進めながら、経済効果を最優先して事業を進めてしまうと、自然や人々の暮らしに悪影響が出てしまうため、環境・社会・経済のバランスが大切であることを体感しました。
≪参加者の感想≫
・ハワイの映像を見ながら自然と人との関わりを深く感じました。また、開発者ゲームは楽しみながら考えることができ、自然と経済の両立の難しさと必要性を感じました。
・環境と私達は共生しているのだと、自分たちが全てではないと意識をしていきたいと感じました。また、自分たちの周りにある自然を感じ、気を配りながら環境活動をしていきたいと感じました。
・環境保全活動と経済を数値化して考えていくことは本当に必要なのか根本から考えさせられました。
第2回「システム思考でつながりを考える」
【日 時】令和4年9月25日(日) 13:30~16:30
【場 所】広島市留学生会館 2階 研修室1・2
(広島県広島市南区西荒神町1−1)
【参 加 者】9名
【講 師】丸王 祐子氏(LbE Hawaii 教育ディレクター)
【主 催】中国地方ESD活動支援センター/
環境省中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)
【プログラム】
13:30~ 開会挨拶、講師紹介
13:35~【オリエンテーション】目的・ルール共有、自己紹介、アイスブレイク
13:50~【講義】前回セッションの学び振り返り
14:10~【講義】ハワイで行われる環境保護(動画でエコツアー)
14:25~【ワーク】自分のライフストーリーをマインドマッピング
15:05~ 休憩
15:15〜【ワーク】システム思考導入「里山のクマ」
16:00~【講義】サステナビリティのバランスの鍵となる文化
16:15~ まとめ、感想のシェアリング、閉会挨拶、アンケート記入
16:30 閉会
<企画の目標>
① 海外の環境保全活動や生物多様性保全活動に係る先行事例を知ることを通し、新たな視点で自分たちが暮らす地域について考える。
② システム思考の手法を学ぶことを通し、自然と人間とのつながりや影響を及ぼす行動について改めて気づき、課題の全体像を把握し、自身の生活や活動に落とし込んで考える。
<企画の内容>
ハワイに根ざしたサステナビリティの精神を知り、ワークを通して人の行動が自然に及ぼす連鎖反応を理解し、改めてサステナビリティとは何かを考える、参加型ワークショップ。
□【ワーク】自分のライフストーリーをマインドマッピング
今の自分が大切にしていることや、今の自分に影響を与えた経験をマインドマップとして書き起こし、自分のライフストーリーを組み立てるワークを行いました。このワークは、後半の「システム思考導入」を深く理解する練習として実施しました。
グループ内で自分のライフストーリーを共有する時間では、多くの参加者は自分が大切にしていることと社会課題をつなげて説明していました。
他者からコメントをもらうことで、改めて自己の価値観を振り返り、他者との価値観の共通点や異なる点に気づくことができました。
□【ワーク】システム思考導入「里山のクマ」
里山のクマの問題を事例に「なぜそれが起こるのか」を問い続け、根本の原因や問題のつながりを考えるシステム思考について、スライドで事例を共有し、参加者に問いかけながら説明を行いました。
自身の生活の中で、クマを身近に感じる機会のない参加者も多かったですが、システム思考で課題を考える中で、クマが人の住む場所に現れるというニュースと、少子高齢化等の社会課題や私たちのライフスタイルの変化はつながっていることに改めて気づくことができました。
<参加者の感想>
・ハワイで行われているエコツーリズムを日本でも実践できればと思います。クマの問題については日本の小中学校でも積極的に取り入れられないかと思いました。
・身近な取り組みを無駄と思わず続けることが必要と感じました。
・勉強になりました。話を聞きながら、人は自分のことに手一杯で子孫のことを考える余裕があるのだろうか、と考えてしまい、やっていけるのかわからないと感じました。
この記事の発信者
濱長真紀(はまなが まき)
コーディネーター・ESD統括