取組紹介

エリア 島根県

【主催事業報告】自然共生社会を目指した地域づくりに係る島根セミナー

主体
テーマ
方法

『自然共生社会を目指した地域づくりに係る島根セミナー
「自然再生事業を通した地域の活性化」-中国地方の3事例に学ぶ-』

 

【目的】
島根県においては、大山隠岐国立公園をはじめ、国定公園、県立自然公園及び自然環境保全地域が指定され、優れた自然の保全を目指した活動が多く実施されている。中海では、自然再生の重要性を再認識し、環境保全、里海創成を展開する環境NPO等の活動が活発になされている。また、自然再生推進法が施行されて以来、過去に損なわれた自然を積極的に取り戻し、生態系の健全性を回復する自然再生事業が、全国各地で展開されている。中国地方では現在、八幡湿原(広島)、椹野川河口域・干潟(山口)、中海(島根・鳥取)の3つの法定協議会が活動している。今回、これらの協議会における各地域での生物多様性の保全活動はもとより、自然再生を通した地域の活性化について事例紹介して頂き、これからの自然再生に関わる活動の継続・発展について、参加者全員で討論し、多様な主体や世代の参画と協働を促すための知識・技術の習得、自然共生を推進する仕組みづくり、これらの活動の継続・発展の担い手になる若い人材育成を目的にセミナーを開催した。

【日  時】平成26年11月9日(日)13:30~17:00
【場  所】松江テルサ 大会議室
【参  加  者】53名
【主  催】環境省中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)
【後  援】中海自然再生協議会、鳥取県、島根県、広島県、山口県
【内  容】

《講師》

  • 北広島町立「芸北 高原の自然館」学芸員 白川 勝信(広島県芸北地域で、湿原、半自然草原、二次林など、地域の人間活動によって維持されていた生態系の保全をテーマに博物館活動を実践) 
  • 山口大学名誉教授 浮田 正夫(椹野川河口域・干潟自然再生協議会 会長、専門分野は環境衛生工学 上下水道、廃棄物処理、水質汚濁、流域管理など) 
  • 島根大学汽水域研究センター 教授 國井 秀伸(中海自然再生協議会専門委員、専門分野は保全生態学(水生植物の保全、水辺の自然再生など) 

《司会》 

  • 環境省中国環境パートナーシップオフィス 地域実行委員 小倉加代子

【次第】

13:00-  開場・受付
13:30-  開会・あいさつ
13:40-  講演会 

「八幡湿原自然再生協議会の事例紹介」白川 勝信
「椹野川河口域・干潟自然再生協議会の事例紹介」浮田 正夫
「中海自然再生協議会の事例紹介」國井 秀伸 

15:10-  討論会
15:40-  休憩
16:00- 中海自然再生協議会の事例発表
17:00   閉会 

13:30-  開会・あいさつ
   加藤博己氏/中国四国地方環境事務所 広島事務所長 

  • 中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)は、平成17年1月に環境省が設置し、NPO法人に運営している。今期から、EPOちゅうごくの活動を、中国地域全般に広めるため、各県域に2名ずつ、EPOスタッフとして地域実行委員を配置し、相談対応など地域の環境保全活動を支援している。島根県域については小倉さんと石原さんにお願いしている。 
  • 各地域のそれぞれの環境保全上の課題があり、テーマに基づいたセミナー等も開催している。ご当地においては、自然再生が大きなテーマのひとつであり、今回は、自然共生社会を目指したセミナーを開催する運びとなった。 
  • 平成15年に自然再生推進法が施行されて12年になる。現在、全国で25の自然再生協議会において自然再生事業が進められている。特に近年はNPOなど民間主導の自然再生事業が活発に行われており、地元企業や地域と連携した取組も行われ始めている。また、自然再生に関する施策を総合的に推進するために策定する自然再生基本方針の変更が11月7日に閣議決定された。今回の変更では、長期にわたる自然再生に継続的に取り組むための考え方や自然再生の果たす役割について追加するなど自然再生をとりまく情勢の変化の観点から変更を行っている。今後とも本基本方針も踏まえ、自然再生に取り組んでいただきたい。 
  • 中国地方の取組事例や情報交換などが、次世代の主役となる子どもに豊かな自然環境を残すための自然再生事業を円滑に進め、みなさま方の環境保全活動のご参考となることを願う。 

13:40-  講演会 

(1)八幡湿原自然再生協議会の事例紹介 芸北高原の自然館 白川 勝信 

 八幡湿原の自然再生事業だけでは、地域の活性化にはつながらない。八幡湿原のある北広島町の地域活性化につながった「芸北せどやま再生事業」の事例紹介があり、その後、八幡湿原自然再生協議会の事例紹介があった。 

① 芸北高原の自然館 

  • 八幡高原にある芸北高原の自然館に勤務。自然館のある広島県山県郡北広島町は、面積646万k㎡(広島県の7.6%)、標高200mから1,223m、人口20,368人。高原の自然館がある八幡高原は、島根県との県境にある標高800mの盆地、瀬戸内海より日本海のほうが近い。人口約400人、戸数約120戸の集落。小学生15人、地域年齢の中央値は64歳。 
  • 冬は雪が2~3m積もるため、自然館は、11月25日から4月26日まで休館する。
  • 自然館はフィールドミュージアム。対象は地域全体の自然、情報を集めて保全している。 

② 芸北せどやま再生事業(これからの里山保全) 

  • 事業の目的は、地域から考える3つの「E」問題の解決。山林の景観および生態系保全(せどやまの適切な管理を通じて、地域の生物多様性の保全を実現し、水源涵養、獣害抑止、景観保全など、里山の多面的機能を取り戻す)、地域経済の活性化(木質バイオマスの流通過程において、芸北地域だけで使える「地域通貨」を活用することで、地域経済の活性化を図る)、木質バイオマスの利用促進(主にコナラなどの落葉樹に由来する木質資源の利用を促進して、使われなくなった「せどやま(裏山、里山)」)の管理) 
  • ボランティアの里山保全は多くされているが、「せどやま」を取り巻く課題は、お金にならない、売れない、林業の担い手がいない、木を使う必要がない。 
  • 解決するための取組は、木を買い上げるしくみ作り(少量でも安定した値段で木を買い上げるしくみ)、だれでも着手しやすいしくみ作り(安全に木の搬出を始められるように、研修会などを実施)、消費地の確保(薪、シイタケのほだ木、ボイラー用の薪など、商品の生産と流通を促す)何十年も切らなかった木を切って量って、地域通貨に換えて、地域で使える。
  • 子供達と薪でピザを焼き、木はどこから来たか関心をもってもらい、木を切って、運んでお金にすると、子供たちの見る目が変わる。最初は小さな木を切っていたが、大きな木を切るようになる。大きな木は危険が増すが、お互いに声をかけながら危険を避けるような行動をはじめ、行動から協働が生まれる。稼いだお金は自分で考えて使うようになる。自分たちだけで使うのではなく、お世話になって人に何かをあげようとする感謝の気持ちも生まれる。
  • せどやま市場に切った木を持っていくと1トン5,000円の地域通貨がもらえ、地域で買い物ができる。商店はせどやま市場で現金化できる。せどやま市場は木を薪に消費者に売って現金化する。木の消費者が負担することで里山の循環が生まれ、地球温暖化対策にもなる。 

③ 八幡湿原の概要 

  • 八幡湿原は、八幡高原に点在する湿原の総称。日本の湿原分布においてほぼ南限地帯にあたり、この地域が古代、湖底にあったことの名残。日本の重要湿地500、にほんの里100選(八幡湿原)、自然再生事業地(全国10番目、県内唯一)、広島県自然環境保全地域(尾崎谷湿原)、面積的には小さいが多くの希少種が含まれていて、湿原の植物たちは様々な形で水に適して暮らしている。 
  • 八幡湿原は年々減少している。1957年新川ため池の造成、1960年代燃料革命、化学肥料への転用、1970年代圃場整備、1990年代地球温暖化による影響。 

④ 八幡湿原の自然再生事業 

  • 県有地の霧ケ谷の調査から始まった。牧場開発で湿地だったところがどうなっているか調べた結果、植生、鳥類相とも、森林の植物、鳥が増えていた。調査結果をまとめると、断片化して、小さなかけらだけが点々と残っていた。多くの場所は、陸生の牧草や低木からなる植生へと変化していた。湿原に生活するガは採取できなかった。牧場跡地の外側には多くのカスミサンショウウオの産卵場所があったが、内側には皆無だった。草原の渡り鳥は、中継地として霧ケ谷を利用していなかった。 
  • ボランティアで水路を設置し、湿地を再生した。湿原の植生が帰ってきた。その後、県に相談し、予算はあまりなかったが、自然再生事業を始めた。湿原再生の基本となる工法は、導水路を等高線上に掘ることで、全体に水を行き渡らせる。地元の建設会社が協力的で、特注で小さな水路が掘れるパワーショベルを作って工事をしてくれた。 
  • 湿原再生した。ミソソバの群落、ハッチョウトンボ(絶滅危惧種Ⅱ類)、ミズチドリ(準絶滅危惧種)、ヒロシマサナエ(絶滅危惧種Ⅱ類)、グンバイトンボのペア(準絶滅危惧種)、モリアオガエルの卵塊、カスミサンショウウオの幼生(絶滅危惧種Ⅱ類)が帰ってきた。 
  • 湿原の再生は十分に可能という考えに至った。 

⑤ 芸北トレッキングガイドの会の紹介 

  • 2007年に観光協会の呼びかけにより結成。メンバー約16名は全員が町民。八幡地域のメンバーは約2割。高原の自然館でガイド講習を受講し、ガイドを実施している。 

⑥ まとめ 

  • 戦後に開発が進んだことで、湿原の半分以上は失われてしまった。 
  • 失われた湿原を取り戻すため、霧ケ谷湿原で、再生の取り組みが続けられている。
  • 再生のきざしは見えてきた。これからは、八幡地域全体を対象に再生を考える。
  • 湿原と人とが、新しい関係を築きつつある。 

⑦ 質疑応答 

  • 国土交通省が作ったものが上手く壊すこができたかの質問に対して、牧場管理の時代は公団が作った。主体は県が実施した。県と相談し実現できた。 
  • 補助水路は壊れるかの質問に対して、良く壊れる。土木の先生にも壊れるといわれたが、自然再生の新しい土木方法と考えている。発注時には県と施工業者が上手く相談してつくった。設計は、長さだけ決めて、柔軟に対応してくれた。 

 

(2)「椹野川河口域・干潟自然再生協議会の事例紹介」浮田 正夫 

 椹野川河口干潟自然再生の取り組みとして、豊かな流域づくり構想から河口干潟自然再生協議会の発足から、干潟・藻場の復活へ向けた取り組み、もり・かわ・さと・うみ、生き物のつながりの重要性について事例紹介があった。 

① 椹野川 

  • 山口湾に流れる椹野川は、ダム流域も比較的小さく、海岸部も立ち入り自由で、“もり・川・うみ”を一体に捉えることのできる数少ない川。
  • 発端は、山口県環境政策課が河川流域の環境管理を総合的に議論するために委員会を2002年度に設置。その成果は、椹野川流域をモデルとして「やまぐちの豊かな流域づくり構想」を2003年3月にとりまとめた。もり・川・うみを育むふるさとの流域づくりで、循環共生型社会をめざし、健全な水循環、生体系保全、地域産業活性化、流域連携を推進している。
  • 山口湾における漁獲量、アサリ生産量は、年々減少し、1990年以降アサリの漁獲がほとんどなくなっている。 

② 椹野川河口・干潟自然再生協議会 

  • 2004年8月椹野川河口・干潟自然再生協議会が発足。干潟、藻場の回復のため、干潟を耕し、アサリをナルトビエイなどの食害から守るため網を張り、竹柵を建て、藻を増やすために種をまきアマモの苗を植えた結果、アマモは少し増えてきている。アサリは少し増えたが減少している、漁獲量は減っている、カブトガニ幼生は増えている。 
  • 地域通貨フシノの発行は、対象イベント参加人数の減少とともに減少。椹野川河口・干潟自然再生協議会のニュースレターの発行、山口県のホームページで紹介している。
  • アサリの減少の原因は、埋立による藻場・干潟そのものの減少。栄養分の不足、海がきれいになりすぎた。水田代掻き時の濁りや浚渫工事等による細かい泥分の増加。治山治水をよくしたためにかえって砂の流出が減少。環境ホルモン、農薬等、微量化学物質の影響。温暖化の影響。ナルトビエイ、ツメタガイなどの食害の影響。母貝を取りすぎた乱獲の影響。原因がたくさんあり、大変複雑な問題。
  • アサリの餌料環境は、餌にならない土粒子が増加し、餌になる植物プランクトンが減少。泥水の増加と干潟の細泥化につながる水田工作も原因となっている。窒素、リンは増加傾向にある。窒素、リン以外に鉄が重要ではないかと考えている。鉄分は酸化されやすく非常に沈殿しやすいため、生物に利用されにくくなる。
  • 山口は水もきれいで、まだ自然に恵まれている方だが、水の生きものは、色々な原因で貧弱になってきている。生きものは人間を含めて、すべてにつながっている。生きものが息づき、恵みゆたかな、もり・川・うみを取り戻すために、人々が手を取り合って協働することも重要だが、社会の価値観を変えて、環境にやさしい農林水産業を自立させ、里山・里海を復活させることが大事。 

③ 質疑応答 

  • 地域通貨についての質問に対して、域通貨は、加盟店で利用できる。売り上げの1割ぐらいは地域通貨ではないか。地域通貨は使ってみたいなと思えるような商品、サービスがないと回らない。 

 

(3)中海自然再生協議会の事例紹介  國井 秀伸

中海自然再生の4つの事業として、「アマモ場の保全・再生事業」「海草類の回収及びその利用事業」「砂浜の保全・再生事業」「浚渫窪地の環境修復事業」が進められている「中海自然再生協議会」の事例紹介があった。 

① 宍道湖・中海 

  • 宍道湖・中海は汽水の湖で、2000年に最終の干拓予定地であった本庄光岠の干拓が中止され、その後、2002年には淡水化事業も中止になった。2005年11月に、ラムサール条約の登録湿地となり、両湖の賢明な利用(ワイズユース)が求められることとなった。2007年には「中海自然再生協議会」が設立され、中海の自然再生が地域住民、自治体、行政、専門家などの協働で開始されることになった。
  • 島根県と鳥取県にまたがる中海は、かつては広大なアマモ場を有し、サルボウ貝(赤貝)に代表される豊富な魚介類の生産の場であったが、水質の悪化(アオコの発生、赤潮の発生、青潮の発生、硫化水素の発生)や高度経済成長期に実施された中海干拓・淡水化事業などの大型開発行為(人口護岸、コンクリート護岸など)により、アマモ場の消滅、水産資源の減少が進み、かつての豊潤な自然環境が大きく損なわれた。 
  • 1960年代以前には、中海では宍道湖を超える漁獲があり、肥料藻としてアマモが、寒天としてオゴノリが大量に採藻されていた。宍道湖七珍:すずき、もろげえび、うなぎ、あまさぎ、しらうお、こい、しじみ。宍道湖では、漁獲は減少傾向にあるが、今でもおよそ4,000トンほどのヤマトシジミの漁獲がある。昔は、7,000トン、8,000トンも獲れた。
  • そこで、宍道湖は現状の保全(今より悪くしない)、中海は修復が必要(積極的な自然修復)と考えた。今は宍道湖も保全だけでなく、自然再生をしようという考えもある。 

② 中海自然再生協議会の設立 

  • 自然再生法による中海の自然再生を進めるため、平成19年6月「中海自然再生協議会」設立、平成20年11月「中海自然再生全体構想」策定、勉強会をしながら平成24年3月「中海自然再生事業第1期実行計画」策定。全国19番目の協議会となる「中海自然再生協議会」は、NPOが立ち上げた初めての協議会。
  • この自然再生が目指すものは、昭和20年代後半から30年代前半の「豊かで遊べるきれいな中海」であり、豊かな汽水湖の環境と生態系、そして心に潤いをもたらすきれいな自然を取り戻し、かつての中海の自然環境や資源循環の再構築。
  • 中海自然再生全体目標は、「よみがえれ、豊かで遊べるきれいな中海」を合言葉に、豊かな汽水湖の環境と生態系、そして心に潤いをもたらすきれいな自然を取り戻し、かつての中海の自然環境や資源循環を再構築する。そのための5つの推進の柱(大きな目標)は、「水辺の保全・再生と汽水域生態系の保全」「水質と底質の改善による環境再生」「水鳥との共存とワイズユース」「諸裏を担う子ども達と進める環境学習の推進」「循環型社会の構築」 

③ 中海自然再生の4つの事業 

  • まず、中海自然再生マップを作成した。
  • 平成22年7月時点では9つ原案があり、それぞれの実施計画の科学的データ不足、法定実施計画と協議会の実施計画との仕分けを再検討し、4つ事業として「アマモ場の保全・再生事業」「海草類の回収及びその利用事業」「砂浜の保全・再生事業」「浚渫窪地の環境修復事業」とした。その他は、実行計画に載せずに自主的に実施することにした。 

④ アマモ場の保全・再生事業 

  • まとまった群落が存在する場所を核にして、地域の人、小学生、幼稚園生と一緒に、6月に種子を採取、秋に植える。未来守りネットワークが実施。10年になる。アマモの生息するところには、アサリも生息することも分かった。 

⑤ 海草類の回収及びその利用事業 

  • 海草類を放っておくとしまうので、回収し、肥料にし、サツマイモ畑などに活用する。自然再生基本方針が、平成20年に改正され、基本的方針に「地域の産業と連携した取組」という項目が新たに加わった。これにより、地域の産業や社会経済活動と自然再生を関連づけ、自然資源の循環利用、地域社会の活性化につなげることにより、自然再生を持続的可能な取組としていくことが重要視されるようになった。 

⑥ 砂浜の保全・再生事業 

  • 単にきれいで豊かな中海を目指すのではなく、遊べる水辺の再生とともに、地域住民に親しまれる水辺景観を創出する。昔は風光明媚で、海水浴など楽しめる豊かな海が保たれていた。 

⑦ 浚渫窪地の環境修復事業 

  • 産業副産物の活用として、小規模実証実験で効果が検証された石炭灰造粒物による浚渫窪地の全面覆砂(厚さ50cm)を行なう。 

⑧ まとめ 

  • 本事業は3つのNPO法人が主体となって4つの事業を行なっており、協議会での情報の共有化を図り、円滑に事業を実施するようにしている。 

 

15:10-  討論会 

 会場からの質問・意見に対して、各講師の先生が答えるといった形式で、討論会を実施した。 

  • 山口の海全体の栄養分が低下してことの質問に対して、海を綺麗にしたことで、CODも低下、そこまできれいにしなくてもよいぐらい綺麗にしている。し尿汚泥も下水道汚泥も海には流れないので、微量の栄養分も海に行かなくなった。
  • 自然再生と農林漁業の活性化とどうつなげるかに対して、八幡湿原の再生した場所は元々産業とのつながりがなかったところで、無理に産業と結びつける必要はない。周りに自然が無くなってくると、湿原は観光になってきた。再生事業そのものも新しい公共事業にもなる。
  • また、農林漁業で、飯が食えるようにすることを、社会全体が本気で考える必要がある。若い人の仕事として成り立つ社会の仕組を考える必要がある。
  • 八幡湿原自然再生する時に反対はなかったか、災害に対して懸念はなかったかについて、水が流れてくるのに時間がかかるが絶対的な水の量は変わらないこと、保水力があって安定的な水供給ができること、渇水時にもよいと説明した。
  • 八幡湿原自然再生には、科学的な根拠はあるかに対して、根拠はない。アイデアを出して、ボランティアで実施した。小さい規模でやって、その後、大きな規模にした時にどう合わせるかがポイント。元の自然に戻るかどうかを考えた。元々、ゼロになりかけた自然を、何かすることでプラスになっていくと考えて進めた。自然に戻るかの実験を本当にやれば、100年かかるかもしれない。ボランティアで実証実験を4年やって、公共事業として本格的に再生事業を始めた。
  • 水俣市は、環境を再生したプロセスを、海外に売ろうとしている。アジアも同じような問題で困っているので、水俣の再生プロセスを還元しようと考えている。今やっている再生事業、はトライアンドエラーも含めて記録し、ノウハウとしておくことで、機会があれば売っていける。これも地域活性化の一つではないか。 

16:00- 中海自然再生協議会の事例発表 

① 浚渫窪地の環境修復事業 

  • 平成24年から平成26年の実証事業の紹介、実証試験に使用している石炭灰製品の紹介、効果の例として硫化水素の吸着・無害化、粒子間隙への有機物トラップ、粒子間隙に入った有機物分解時の硫化水素等の吸着・無害化、栄養塩抑制効果などの紹介があった。 

② 海草類の回収及びその利用事業 

  • 回収を漁協に依頼、運搬と肥料化を福祉法人に依頼、自然農法園に入れて海藻の土壌改良効果試験を実施し、販売促進を行なった結果、良いものとの評価が得られ、在庫も一掃され、とってもとっても間に合わないぐらいになった。これまでの3年間で回収・処理・販売体制がほぼ確立された。課題は、回収コストの削減。これまでは行政支援による回収をおこなっており、農家が土壌改良材として使用できる価格での販売ができている。環境影響調査を進め、その回収効果について、漁業関係者を含め確認することで、今後の行政支援の在り方を考える必要がある。 

 

この記事の発信者

EPOちゅうごく 編集部(へんしゅうぶ)

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