ESD学びあいフォーラム
~持続可能な地域づくりのための企業・自治体の役割と可能性~
【日 時】平成25年11月22日(金曜日)14:00~17:00
【場 所】広島市南区民文化センター大会議室A・B(広島県広島市南区比治山本町)
【参 加 者】18名
【講 師 等】<コーディネーター>
志賀誠治氏(NPO法人ひろしま自然学校代表理事/人間科学研究所 所長)
<講演者・事例発表者>
川北秀人氏(IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者)
小桐登氏(株式会社トンボ 総務部 環境マネジメント担当)
原明子氏(岡山市 ESD世界会議推進局)
【主 催】環境省中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)
【内 容】14:00〜 オープニング・オリエンテーション
14:30〜 基調講演~グループトーク
15:40〜 事例発表~グループトーク
16:50〜 クロージング
17:00〜 終了
<企画の背景>
持続可能な社会の実現のためには、市民のESDによる学びあいや、企業・自治体・NPOによるSR(社会責任)の実践、効果的な協働取組が求められます。しかし現状では、ESDやSRの概念が十分に浸透しているとはいえず、実践の現場でも手探り状態が続いています。そこで、ESDへの理解・普及と、企業や自治体等が体系的・効果的に社会責任を果たす取組を促進することを目的に本フォーラムを開催しました。今回は環境分野の産業展示会である「エコ・イノベーションメッセinひろしま2013」の会場での実施であることから、特に企業・自治体のSRにスポットを当てた基調講演、並びにESD先進地・岡山の事例を取り上げ、ESDやSRに対する参加者の理解とやる気を高めるとともに、学びあいを通じて、実践する関係者のつながりの拡大を図ります。
<内容>
オープニングでは、コーディネーターの志賀誠治氏からESDについて概略解説の後、参加者に、今回のフォーラムの獲得目標として「自らの活動現場へ持ち帰ることのできる、“最もフィットする言葉”を探そう」というテーマが与えられました。
- 基調講演:川北秀人氏「企業・自治体の社会責任(SR)が、持続可能な地域づくりを進める」
(概要)
・持続可能な地域づくりに取り組む企業、NPO、行政などの組織に対し、マネジメントや人材育成の観点からアドバイス・支援を行っている。
・企業のCSRは社会貢献活動と違い「業績不振だから」と言って止めることはできないものである。
・もはや法律を守るだけでは企業は評価されない。
・中国地方の高齢化は全国より10年ほど早く進んでいるので、国の対策を待っていては手遅れになる。
・今までの経験の延長線で物事を考える限り地域そのものの持続性はない。未来を予測して次に何をすべきかを考えていくことが企業や自治体の責任ある行動だ。
・自治体に何ができるのか?地域への貢献度合を入札時の条件や評価に取り入れた事例がある。持続可能な地域づくりに貢献する企業に対して、活動しやすい環境を提供する仕組みを作ることではないか。
基調講演を聴いた感想を2つの視点「すぐに始めようと思ったこと」、「その取組に誰を巻き込むか」で整理して、グループトークを行いました。
- 事例発表①企業:小桐登氏「(株)トンボのCSRと環境教育」
(概要)
・学生服ブランドとして有名な岡山県のユニホームメーカー(株)トンボは、顧客である学生支援を行う一方、自然環境に関する保護活動・支援を手掛けている。
・省エネや自然エネルギーの活用、天然素材・リサイクル素材の使用といった製造現場での取組は無論のこと、企業名にちなんで「トンボ」の生息できる環境づくりなど自然保護活動を支援したり、カーボンオフセットのための森林ボランティアに積極的に職員を参加させたり、製品素材や製造残布の再利用などを通じた環境学習指導、出前授業を行ったりしている。
・これらは、企業の永続性と時代への対応、信頼される会社・ブランド形成を追求した結果として広がっていった活動である。
・今後も環境保護活動、環境配慮品、社会貢献を通じ、エコ商品の支持率を上げて、ファンを増やしていきたい。
- 事例発表②自治体:原明子氏「公民館を拠点とした持続可能な社会づくりの取り組み」
(概要)
・市民、企業、様々な機関のバラバラな活動を結び付け、一緒にやっていこう!と先導した。
・岡山市内37公民館の事業方針の柱にESDを据え、講座等を通じてESD活動を展開した。
・ESDとはつながりの再構築のこと。様々な立場の人が交わり協働することにより次々とテーマが発展・展開していった。
・取り組むテーマは違っていても“豊かな地域をどう創るか”という根幹の部分は同じ。ならば、互いを知り、ビジョンを共有するための仕組みやルールを作ればよい。
・多様な人々が対話する場と専従のESDコーディネーターが必要、集いやすい公民館などで、行政の後ろ盾を得て、時には大学等の専門家の知恵を借りながら進めたことが、岡山市の特徴(岡山モデル)。
最後に、自らの活動の現場に照らし合わせながら、講演の中から心に残った「キーワード」を探しだし、参加者同士で共有しました。参加者からは、活動を展開する上でのヒントになる言葉、社会の持続性に対する危機感や自戒を迫る言葉などが飛び交い、社会責任やESDの重要性を改めて確認し、それぞれの活動への意欲を掻き立てていただけたものと思います。
<参加者の感想>
・自分の中でモヤモヤしていた点も含め、社会の流れ、今後の課題がよくわかった。
・SDの共有は喫緊の課題。他の関係課のメンバーを誘えばよかった。
・すぐに活用できる事例がたくさんあった。もっと詳しく聞きたい。
この記事の発信者
EPOちゅうごく 編集部(へんしゅうぶ)
スタッフ