情報

環境省

 環境省では、実際に発生した気象災害を対象に、現在よりも地球温暖化が進行した状況下でどのような影響をもたらすようになるか評価する事業を実施しています。

「平成30年7月豪雨」を対象に評価したところ、降水量及び河川流量の最大値が増加し、より深刻な災害につながる可能性が示唆されました。気候変動の身近なリスクを知っていただき、今後の気象災害対策や気候変動への適応策を考えるきっかけとしてご利用いただけるよう、これらの内容をパンフレットに取りまとめました。

参考資料については以下のURLよりご参照ください。

【パンフレット】:深刻化する豪雨~我々はどのようなリスクに直面しているのか~[PDF 約21MB]

目的・調査概要

 環境省では令和2年度より、将来の気候変動影響を踏まえた適応策の実施に役立てるため、近年大きな被害をもたらした気象災害について、文部科学省の気候変動研究プログラムの成果等を活用して、世界平均気温が工業化以前と比べて2℃、4℃上昇した場合※1にどのような影響をもたらすようになるか評価する事業を実施しています。
 今般、実際に発生した豪雨(平成30年7月豪雨)を対象とし、地球温暖化が進行した世界において、大雨の様子がどのように変化し、与える被害にどのような変化が生じるかをシミュレーションしました。気候変動の身近なリスクを知っていただき、今後の気象災害対策や気候変動への適応策を考えるきっかけとしてご利用いただけるよう、パンフレットに取りまとめました。

※1 地球温暖化が進行した場合として、以下のシナリオを設定。

  • 2℃上昇シナリオ: 世界平均気温が工業化以前(1850年-1900年)より2℃上昇(積極的な緩和策により将来の温暖化をかなりの程度抑制した場合)すると仮定
  • 4℃上昇シナリオ: 世界平均気温が工業化以前より4℃上昇(現状を超える緩和策が行われず、温暖化の抑制ができなかった場合)すると仮定

 上記結果と、対象となる豪雨を気象モデルで再現したシミュレーション(このシミュレーションの結果を以下では「現在気候」とします)とを比較します。
 
【留意点】
 本調査は、過去の豪雨事例について、地球温暖化が進行した条件下でどのような影響がもたらされるか評価することを目的としたものであり、シミュレーションした大雨が今後発生することを示すものではありません。

平成30年7月豪雨の概要

 平成30年6月28日から日本に停滞していた前線と、6月29日に日本の南海上で発生し沖縄本島の西海上を北上した台風第7号の影響により、西日本を中心に全国的に大雨がもたらされました。
 期間中の総降水量は四国地方で1,800mm、東海地方で1,200mmを超えるところがあるなど、一部では7月の月降水量平年値の2~4倍に達しました。また、九州北部、四国、中国、近畿、東海、北海道地方の多くの観測地点で24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位の値を更新しました。

シミュレーションの結果

 今回のシミュレーションでは、地球温暖化が進行した世界においては、現在よりも降水量が増加するとともに、河川流量の最大値(以下、ピーク流量)が増加する可能性が示されました。

降水量への影響

現在気候から2℃上昇シナリオにおける総降水量の増加率は、全54ケースで平均9%(最小-1%~最大23%)、現在気候から4℃上昇シナリオでは平均25%(最小1%~最大23%)となりました。

ピーク流量への影響

現在気候と2℃上昇シナリオを比較すると、中国・四国・九州地域の41水系でピーク流量の増加率は平均17%(最小3%~最大49%)であり、現在気候と4℃上昇シナリオを比較すると、同じく41水系のピーク流量の増加率は平均46%(最小11%~最大89%)となりました。いずれの場合でもピーク流量が増加していることが分かります。

関連情報

令和5年には、令和元年東日本台風(台風第19号)及び平成30年台風第21号を対象とし、地球温暖化が進行した世界で同様の台風が襲来した場合の中心気圧や雨量、風速などの変化、洪水や高潮への影響についてスーパーコンピュータを用いたシミュレーション及び評価を行い、その結果をパンフレットとして取りまとめ公表しました。

連絡先

環境省 地球環境局 総務課気候変動科学・適応室 
直通:03-5521-8242

この記事に関するお問合せ・申込

お問い合わせ先
環境省 地球環境局 総務課気候変動科学・適応室
電話番号
03-5521-8242
公式サイト
トップへ