1.環境省では、国内の発生源による影響を直接受けにくい地点(バックグラウンド地点)である沖縄県辺戸岬及び秋田県男鹿半島において、大気中水銀濃度等のモニタリング調査を実施しています。
2.令和5年度の調査においては、これらの地点の大気中水銀濃度等は、指針値等を十分下回っており、これまでの調査結果とも大きな乖離はありませんでした。
調査の概要
大気中水銀バックグラウンド濃度等の測定は、沖縄県辺戸岬(国立研究開発法人 国立環境研究所 辺戸岬 大気・エアロゾル観測ステーション)と秋田県男鹿半島(秋田県船川測定局隣接地)で行っています。
対象物質は、大気中にガス状で存在する金属水銀、酸化態水銀、及び粒子状水銀の濃度と、降水中の総水銀濃度です。辺戸岬では、水銀の発生源・挙動等を解析するため、大気中粒子状物質中の水銀以外の金属類等(有害17成分、指標6成分)の濃度の測定も行っています。
対象物質は、大気中にガス状で存在する金属水銀、酸化態水銀、及び粒子状水銀の濃度と、降水中の総水銀濃度です。辺戸岬では、水銀の発生源・挙動等を解析するため、大気中粒子状物質中の水銀以外の金属類等(有害17成分、指標6成分)の濃度の測定も行っています。
測定結果の概要
(1)大気中水銀濃度
大気中の形態別水銀の合計の年平均値は辺戸岬において1.6 ng/m3、男鹿半島において1.6 ng/m3であり、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針値(年平均値40 ng/m3)を十分下回る値でした。
なお、大気中の水銀は、そのほとんどが金属水銀でした。
また、辺戸岬における形態別水銀の合計の濃度及び形態別の水銀濃度の年平均値は、昨年度とおおむね同等の値で、平成25年度以降はおおむね横ばいで推移しています。
なお、大気中の水銀は、そのほとんどが金属水銀でした。
また、辺戸岬における形態別水銀の合計の濃度及び形態別の水銀濃度の年平均値は、昨年度とおおむね同等の値で、平成25年度以降はおおむね横ばいで推移しています。
表 1 辺戸岬における大気中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3[注1])
測定項目 | 平成 26年度 |
平成 27年度 |
平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
令和 5年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金属水銀 | 1.7 | 1.6 | 1.7 | 1.6 | 1.6 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.6 |
1.6
|
酸化態水銀 | 0.002 | 0.001 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.001 | 0.001 | 0.002 |
粒子状水銀 | 0.004 | 0.002 | 0.003 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 |
合計 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.6 | 1.6 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.6 | 1.6 |
[注1]水銀及びその化合物を水銀の量に換算した濃度を示す。表2及び表3も表1に同じ。
※平成25年度以前の測定結果については、添付資料「令和5年度大気中水銀バックグラウンド濃度等のモニタリング調査結果について(別添)」をご参照ください。
男鹿半島における形態別水銀の合計の濃度及び金属水銀、酸化態水銀、粒子状水銀の濃度の年平均値は、過年度とおおむね同等でした。
表 2 男鹿半島における大気中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3)
測定項目 | 平成 26年度 |
平成 27年度 |
平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
令和 5年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金属水銀 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.5 | 1.6 | 1.6 | 1.5 | 1.5 |
酸化態水銀 | 0.002 | 0.003 | 0.002 | 0.003 | 0.003 | 0.002 | 0.003 | 0.003 | 0.003 | 0.002 |
粒子状水銀 | 0.009 | 0.009 | 0.011 | 0.009 | 0.008 | 0.006 | 0.012 | 0.006 | 0.007 | 0.007 |
合計 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.5 | 1.6 | 1.6 | 1.5 | 1.6 |
※平成26年度については、測定を開始した8月8日以降のデータを用いて平均値を算出。
(2)降水中水銀濃度
降水中の水銀濃度の年平均値は辺戸岬において4.0 ng/L、男鹿半島において5.3 ng/Lでした。辺戸岬は過年度の測定値の範囲内でしたが、男鹿半島は平成28年度以降の最低値となりました。
表 3 辺戸岬と男鹿半島における降水中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/L)
測定項目 | 平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
令和 5年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
辺戸岬 | 6.6 | 4.8 | 3.9 | 5.6 | 5.0 | 5.3 | 5.4 | 4.0 |
男鹿半島 | 6.3 | 5.7 | 6.0 | 6.0 | 7.9 | 5.5 | 6.2 | 5.3 |
(3)大気中粒子状物質における水銀以外の金属元素の濃度
辺戸岬におけるクロム、マンガン、ニッケル、ヒ素、カドミウム及び鉛の令和5年度の年平均値はそれぞれ3.6 ng/m3、3.8 ng/m3、1.1 ng/m3、0.65 ng/m3、0.062 ng/m3及び1.6 ng/m3でした。環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針値が定められている物質については、同指針値(年平均値 マンガン140 ng/m3、ニッケル25 ng/m3、ヒ素6 ng/m3)を十分下回る値でした。
クロム、マンガン、ニッケル、ヒ素、カドミウム及び鉛のいずれも、過年度の測定値の範囲内でした。
クロムとニッケルについては、測定開始以来3番目に高い値になりました。一方、カドミウム、鉛については、いずれも測定開始以来3番目に低い値となりました。
クロム、マンガン、ニッケル、ヒ素、カドミウム及び鉛のいずれも、過年度の測定値の範囲内でした。
クロムとニッケルについては、測定開始以来3番目に高い値になりました。一方、カドミウム、鉛については、いずれも測定開始以来3番目に低い値となりました。
表4 辺戸岬における粒子状物質中の金属類の濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3[注2])
測定項目 | 指針値 | 平成 26年度 |
平成 27年度 |
平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
令和 5年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クロム (Cr) |
– | 1.4 | 0.69 | 0.65 | 0.91 | 1.8 | 2.1 | 4.3 | 2.5 | 3.9 | 3.6 |
マンガン (Mn) |
140 | 6.6 | 3.7 | 2.9 | 4.0 | 4.9 | 3.7 | 4.2 | 3.0 | 2.9 | 3.8 |
ニッケル (Ni) |
25 | 1.5 | 1.1 | 0.74 | 0.98 | 0.97 | 0.86 | 1.0 | 0.76 | 0.90 | 1.1 |
ヒ素 (As) |
6 | 1.1 | 0.74 | 0.73 | 0.73 | 0.70 | 0.66 | 0.61 | 0.43 | 0.51 | 0.65 |
カドミウム (Cd) |
– | 0.20 | 0.13 | 0.13 | 0.11 | 0.096 | 0.083 | 0.067 | 0.052 | 0.057 | 0.062 |
鉛 (Pb) |
– | 6.5 | 3.4 | 3.1 | 2.9 | 2.7 | 2.1 | 1.8 | 1.3 | 1.4 | 1.6 |
[注2]当該金属及びその化合物を当該金属の量に換算した濃度を示す。
連絡先
環境省大臣官房環境保健部化学物質安全課水銀・化学物質国際室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8260