生物多様性とはなにか
生物多様性とは、地球という一つの環境そのものであり、いろんな生きものたちのバラエティー豊かな個性と、命のつながりのこと。
地球上の生きものは、生命が誕生して以来、およそ40億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、約3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。
これらの多様な生命にはひとつひとつに個性があり、全ての生きものが、それぞれ網の目のように様々な関係で直接に、また間接的につながり支えあって生きています。
私たちが現在生活している地球の環境も、そうした生きものの膨大なつながりとその相互作用により、長い年月をかけて創られてきました。
生物多様性の恵みがあることではじめて、 私たちも暮らしていくことができるのです。
ところが・・・
人類はこれまでに強大な力を獲得し、数を増やすことで地球生態系に大きな影響を与えてきました。人類は過去の平均的な絶滅スピードをこの数百年でおよそ1000倍に加速させているともいわれています。
私たちは、「いのち」と「暮らし」を支える生物多様性を自らの手で危機的な状況に陥らせてしまっています。
すべてのかけがえのないいのちを守り、その恵みを受け続けていけるように、今、私たちひとりひとりが行動することが求められています。
3つのレベルの多様性
生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3つのレベルで多様性があるとしています。
生態系の多様性
様々な生きものを中心に、大気、水、土壌といった環境要素がおたがいに関わりあい、森林、里地里山、河川、湿原、干潟、サンゴ礁など、いろいろなタイプの自然環境のまとまり(生態系)が、多様に存在しています。
例えば、山に降った雨は、森林に栄養分とともに蓄えられた後、地下水や川となって海へと流れ込みます。一方で陸上や海洋から発生した水蒸気が雲となって、また雨となって、循環します。それぞれの生態系もつながっています。
種の多様性
地球上には、動植物から細菌などの微生物にいたるまで、いろいろな生きものがいます。
生物の種類は、世界で約175万種が確認されています。日本にも現在わかっているだけで9万種以上もの多様な生きものが生息しています。
1975年以前は、1年間に絶滅する種数は1種以下でしたが、それ以降は絶滅のスピードは加速し続けていて、現在は1年間に4万種、つまり毎日100種類以上のもの生きものが絶滅していると言われています。
遺伝子の多様性
同じ種でも、アサリの模様やナミテントウの模様など、異なる遺伝子を持つことにより、形や模様、生態などに多様な個性があります。
生物多様性と生態系サービス
地球の環境とそれを支える生物多様性は、人間を含む多様な生命の長い歴史の中で、つくられたかけがえのないものです。そうした生物多様性はそれ自体に大きな価値があり、保全すべきものです。
そして、私たちの暮らしは食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みによって支えられていますが、これらの恵みは「生態系サービス」と呼ばれます。
生態系サービスの分類例
国連の主導で行われた「ミレニアム生態系評価(MA)」では、生態系サービスを「供給サービス」、「調整サービス」、「文化的サービス」、「基盤サービス」の4つに分類しています。
TEEBではMAの分類を基本として、基盤サービスの代わりに「生息・生育地サービス」を追加しています。
供給サービス
・農業生態系や海洋生態系によって、食料を供給するサービス
・地球規模の水循環や、水の供給、調整・浄化に関するサービス
・オイルなどの燃料、木材、綿、ジュートなどの原材料を供給するサービス
・品種改良などにより、農作物の生産性及び、有害生物や気候変動への適応力を向上させるサービス
・生化学薬品等、さまざまな高価値の化学薬品を提供するサービス
・観賞用の植物、魚、鳥類等を提供するサービス
調整サービス
・主に都市域における大気質の調整や、都市環境の品質を調整するサービス
・地球の表面温度を維持するサービス
・生命、健康、または財産に大きな脅威を及ぼし得る自然災害などを緩和するサービス
・植物が土壌浸食や地滑りを防ぐサービス
・地力(土壌肥沃度)を維持し栄養循環を支えるサービス
・昆虫や鳥などが植物の受粉を媒介するサービス
・有害生物及び病気を生態系内で抑制するサービス
生息・生育地サービス(基盤サービス)
・様々な生態系を利用する移動性の生物に生息・生育環境を提供しそのライフサイクルを維持するサービス
・生物多様性のうち、遺伝的多様性を維持するサービス
文化的サービス
・人間が自然にふれることで得られる文化的なサービス
✨引用:環境省生物多様性ウェブサイト✨
「みんなで学ぶ、みんなで守る生物多様性」
「自然の恵みの価値を図る」