【主催事業報告】ESD学び合いフォーラム 中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)

【主催事業報告】ESD学び合いフォーラム

中国地域での環境分野におけるESD実践者の増加を図るため、ESD推進ネットワークの構築・ESD拠点支援事業を体系的に推進していくことを目的に、各地で実践しているESD活動事例を題材として、分科会形式により関係者にESDを分かりやすく伝え、学びあう場となるフォーラムを開催いたしましたので、ご報告いたします。

【日 時】
平成28年12月16日(金)13:00~16:30

【場 所】
広島国際会議場  地下2階 ダリア2

【参加者数】
75人(来場者50名・関係者25名)

【主 催】
環境省中国環境パートナーシップオフィス

【後 援】
ESD活動支援センター、岡山県、岡山県教育委員会、岡山市、岡山ESD推進協議会、広島県教育委員会、広島市、広島市教育委員会、呉市、廿日市市、廿日市市教育委員会、庄原市教育委員会、広島大学ユネスコESDコンソーシアム、広島商工会議所、NHK広島放送局、中国放送、読売新聞広島総局、中国新聞社

【内 容】
13:00~ 開会
挨拶 :原 慎一郎 氏/環境省 中国四国地方環境事務所 環境対策課 課長補佐

以下の通りご挨拶があった。
・地場産業の衰退、地域コミュニティの非核化、自然思想の劣化等の課題に直面する地域で、「里地・里山・里海の保全」に取り組む中で、学びと活動を重ねてゆく「ESD」は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の活性に向けた学びの中心である。
・中国四国地方環境事務所におけるESD推進の取組みについて、平成25年度より「ESD環境教育プログラム」を実施しており、今年度は、企業、リサイクルセンター、水族館で主に人材育成の向上を図っている。今後、これら4年間の成果をいかに共有していくか、ESDの推進拠点として機能させて位置付けていくかが重要な課題だと認識している。
・文科省と環境省によるESD推進ネットワーク体制の状況として、本年4月に全国支援センターが開設されたことに加え、来年7月を目途に、EPOを活用して「地方ESD活動支援センター」を設置し、皆様の地域でESDの活動を支援する準備を進めている所であることをご紹介いただき、設置した暁には、参加者の方々に協力・支援をお願いする。

13:05~ オリエンテーション
進行役 : 志賀 誠治 氏/人間科学研究所 所長

今回のフォーラムの進行について、以下の通り説明があった。
・多様な主体が一堂に会し、ESDについて学び・わかちあう場と位置づけ、「知る…各自の活動について情報を共有する」「探る…事例の中からESDってなんだろう?をそれぞれの活動から共有整理、意見交換し探ってみる」「やる気になる…お互いに情報交換し繋がり、やる気を持ち帰る」の三つを目標として掲げている。
・素敵な学びの場にするために、分科会では主体的にトークの場に関わっていただきたい。そしてゲストや進行役からだけではなく、参加者同士でお互いに学びあうスタンスで、遊び心をもって楽しく学んでほしい。

13:10~ 基調講演
『地域づくりとESD~だいだらぼっちの取組から~ 』

講師 : 辻 英之 氏(長野県)/グリーンウッド自然体験教育センター
代表理事

・「だいだらぼっち」は、親元を離れ村の学校に通いながら、子どもたちが主役となり一年間仲間と協力し、暮らしを創りあげて共同生活をする、という山村留学プログラムである。現在、小学生から中学生までの約20名が生活している。開始当時は地域の抵抗があったが、次第に見方が変わっていった。教育理念は「四季折々の自然を活かして子どもたちが自分で生活をつくること」「自炊など自分で暮らしを作っていく力、自立性を育むこと」「手作りの精神」であり、子どもたちは、全てのルールを自分たちで話し合い決めて生活している。予算の7割を自主事業で生みだし、地域に還元して自立するまでに至った。あとの3割は泰阜村や長野県・企業からと、違うセクターと共同し繋がるチャンネルを増やす努力をした。暮らしから学ぶという理念を大事にし、地域の人々の生き抜いてきた営みや文化に敬意を払って、そこから導き出される物を次世代へ現代風にアレンジして伝えていくことで、村人からの信頼を得るとともに、地域は村のほこりをとりもどした。村人たち自らが民宿やNPO、産直他事業を始め、UターンやSターンが増え青年団が復活した。愛着心あふれるファンは「学び」によって産み出され、それは一生涯続く。小さな村で「学び=教育」を中心においた地域創生=「教育立村」への挑戦が始まった。
・ビジョン(目指す社会)は、「あんじゃね=案ずることはない」社会、ミッション(使命)は、「ひとねる=人を練る・育てる」「ひとなる=人が成る・育つ」自律の人づくり=違いを認め合い支え合いつつ、自発的に責任ある行動をとることのできる人づくり、アクション(活動理念)は、「地域に根差し、暮らしから学ぶ」である。
・泰阜村の文化に内在する教育力は、以下のものである。
①自立・自立の気風
②教育尊重・長期的視野の気風
③支えあい・相互理解・相互補完の気風
④循環型の暮らし・生み出す暮らしのありよう
・子どもたちとの活動によって、村の人々の意識が質的に変化して、地元の教育機関における教育内容や教育プログラムに変化がもたらされた。
・山村留学が30年かけてもたらしたものは、以下のとおりである。
①村の価値の再認識
②遊びが生み出した経済効果
③村を捨てない若者たち
④村の人々が生産的な活動を始めた
⑤地域に埋め込まれた教育の力を発揮する
⑥卒業生がSターン
・だいだらぼっちの強さは、村の暮らしを土台とした教育の質であり、いかに村の子どもたちに、地域を愛する学びと育ちを保証したかという「熱量」や、地域の未来は地域住民で決めるという教育の自己決定権が大事である。小さな村の身の丈に合った、教育を通した被災地支援も実施している。
・泰阜村では「学力」が培われる。『他の人を思いやる気持ちが伴う「学力」』、『仲間の暮らしを長期的に見据える視点を伴う「学力」』、『支え合い・お互い様を伴う「学力」』、『自分と仲間との間に豊かな関係が構築されるような「学力」』。すなわち「個人が所有する学力」だけではなく「他者との関係を豊かにする学力」がESDで培われると考える。泰阜村は「世界に誇る高学力の村」である。
・『ESD×地域づくり』のまとめは、以下の通りである。
①地域の人々の自律を「学び」によって支える。
②地域を愛する「学び」が未来を創る。
③暮らしに立脚した「学び」が地域を救う。
④10,000人の観光客より100人のファン。
⑤ひとづくりによって自律する村「教育立村」
・泰阜村の活動は、30年の長い学び教育がそのまま地域づくりになっている。この持続可能な学びと実践がESDといえるだろう。

13:55~
『ESD活動支援センターについて 』

講師 :村上 千里 氏 (東京都)/ESD活動支援センター

・ESD活動支援センターについて、ESD活動を推進する理由と背景について説明がなされるとともに、SDGsにおける、私たちが取り組まなければならない「17の課題」が整理された。
・ESDは、学校だけでなく様々な場で企業、NPOなど色々な立場の人が関わって取り組まれている。人がつながり取り組みがつながることで、持続可能な社会づくりにみんなが関われる機会を作ります。今の社会を作っている大人たちが持続可能な社会を目指して、今の暮らしをどう変えるのか?今の仕事をどう変えるのか?そういったことに取り組むことがESDである。
・学校教育におけるESDのポイントは、持続可能な社会づくりにかかわる課題(6つの構成概念)を見いだし、それらを解決するために必要な能力(7つの能力・態度)を身につけるるため、教え方・学び方(3つのつながり)を改善していくことが大切である。これは私たちが日々の暮らしの中での課題テーマとつなげあわせながら取り組めるものでもあることを、防災訓練を例に取り説明がなされた。
・ESD推進施策についての紹介、日本のESDの10年の成果の紹介、「ESD国内実施計画」で明記された「全国的なESD支援のためのネットワーク機能の体制整備」により、「ESD活動支援センター」が作られ、これから全国8か所に地方センターが作られようとしていることについて紹介があった。アクティブな地域・学校・組織が、学びあい、連携し、協働が生まれ、魅力を発信することで、ESDが広まる・深まる。それを支えるESD推進ネットワーク、それを生み出すESD活動支援センターとして活動を推進するイメージの図を示し、全国センターと地方センターの説明とネットワークの目指している事について説明がなされた。

(14:10~ 休憩)
14:20~ 分科会

以下の4つのグループに分かれて、テーマ別にセッションを実施した。
内容の概要については、全体会にて報告する。

◆グループ1 『 「獣害対策とESD」 ~野生復帰計画の取組~ 』
話題提供:青田 真樹 氏(京都府)/(株)野生復帰計画代表取締役、NPO法人芦生自然学校 総務部長
進行役:河野 宏樹 氏/環境教育事務所Leaf代表

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◆グループ2 『 「生物多様性とESD」 ~ろうきん森の学校の取組~ 』
話題提供:大丸 秀士 氏(広島県)/NPO法人ひろしま自然学校 理事
進行役:松原 裕樹 氏/NPO法人ひろしまNPOセンター

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◆グループ3 『 「森の幼稚園とESD」~森のようちえんまるたんぼの取組~ 』
話題提供:西村 早栄子 氏(鳥取県)/森のようちえんまるたんぼ 主宰
進行役:松原 明子 氏/おかやま自由学校そら 主宰

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◆グループ4『 「エコツアーとESD」 ~かがわ里海大学の取組~』
話題提供:松野 陽平 氏(香川県)/絆創工房 代表
進行役:岩見 暢浩 氏/中国環境パートナーシップオフィス

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15:45~ 全体会
『分科会報告と全員参加型ディスカッション 』

進行役 :志賀 誠治 氏/人間科学研究所 所長

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・1分科会で5分の持ち時間で、ファシリテーターより、各分科会の内容をシェアした後、分科会ゲストの方よりコメントをいただくという流れで行った。

◆グループ1「獣害対策とESD」 ~野生復帰計画の取組~
・獣害対策の課題について、狩猟についての心理的、体力的、経済的なハードルがあり、それをどのように学びの場でプラスの方向にもっていくのか、広めるのか、について話し合い、人が獣のいる環境で理解しながらどう生きるかが大切であり、その生きるための手段の一つとして狩猟がある、と総括された。

◆グループ2「生物多様性とESD」 ~ろうきん森の学校の取組~
・生物多様性というキーワードについて参加者が持っているイメージや考えについてディスカッションした。ろうきん森の学校では、「森を育む」「森を育てる」「森と遊ぶ」の3本柱で活動しているが、特に生物多様性に関係が深い10年続けてきた「生物調査」について紹介をされ、それを踏まえて、「生物多様性」「持続可能な社会」はわかりにくいが、それぞれ掘り下げないと、ESDも生物多様性もなかなか理解できない、という発表があった。
・志賀氏からは、環境教育が「脅しの教育」であったことが続かなかった一つの例であり、ESDは、行きつく先を決めて戻ってくるアプローチが良い、というコメントをいただいた。

◆グループ3「森の幼稚園とESD」 ~森のようちえんまるたんぼの取組~
・森の幼稚園が持続可能な社会の実現にどのように役立っているのか?どのように貢献できるのか?について考えてみたところ、自然に対する感受性、違和感を察するセンス、自立心といった、「人間が生きていく上で必要な根っこ」であり、今の産業社会や消費社会を変える活動である。「森の幼稚園」では「子どもを見守る」「子どもを信じる」大人の在り方が前提で、見守るとは、子ども達の存在を丸ごと受け止め「そのままでいいよ」からスタートとすることであり、子ども達から自信をもって様々な活動の実践が見られると述べられた。

◆グループ4「エコツアーとESD」 ~かがわ里海大学の取組~
・参加者から仕組みや在り方について質問が集中した中で、「どうやってエコツアーの活動を維持し続けるのか」の切り口について深く話し合った。地域の課題を解決する活動に結び付くようなツアープログラムが、共感を呼び、地域のファンになるようなツアーの中身を考えることが、持続可能なツアーにつながるのではないか、と総括された。

◆最後のまとめ

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・辻氏から、交通事故が多いスウェーデンの社会実験で、平均時速を約21%減らした画期的な方法についてのクイズがあり、それを例に取り、人間の、楽しいと感じることから行動を変えていくという習性、「The Fun Theory」により、人々の意識に変化を与え、社会問題を解決し、よりよい社会環境を創りあげると述べられた。
・課題を解決することそのものより、プロセスに質の高い「楽しさ」の要素を含めることが重要で「楽して楽しむ」のではなく「手間暇かけて楽しむ」ことが、次の世代の課題を解決するための良質な糸口であり、そのための皆さんの挑戦は?『E=everyone S=さあ D=どーする?』と辻氏がまとめられた。
・最後に志賀氏より、辻氏のメッセージから、眉間にしわよせて難しく考えるより、前向きに未来を考えようというメッセージが伝わった、と感想を述べられた。

16:30 - 閉会

【評 価】
参加者の感想・意見では、基調講演、ゲストの話は大変興味深く、参考になることが多かった。全体を通して時間的に厳しかったので、深く掘り下げる前に終了した感じであったので、ディスカッションの時間をもっと長くとるプログラム(半日ではなく一日)とした方が良いとの意見があったが、全員参加型で概ね満足との回答であり、ESDを知っていただくという趣旨として全体的に良い評価であったと思われる。

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