【主催事業報告】島根ESDシンポジウム 中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)

【主催事業報告】島根ESDシンポジウム

豊かな自然と歴史文化に恵まれた魅力ある地域として知られる島根県。
先人が残してくれたものが豊かであるがために、当たり前のように感じている環境を学び直し、この豊かな自然と文化等を、子どもたちに残し続けていくために、文科省と環境省が一体となって推進しているESD活動支援センターの情報提供及びESDの基礎について学ぶ機会としてのシンポジウムを開催いたしましたので、ご報告いたします。

【日 時】
平成28年12月10日(土)9:30~12:30

【場 所】
松江テルサ 4階 中会議室

【参加者数】
36人

【主 催】
環境省中国環境パートナーシップオフィス

【後 援】
認定NPO法人自然再生センター、島根県、松江市

【内 容】

9:30~ 開会挨拶
挨拶 : 原 慎一郎 氏/環境省 中国四国地方環境事務所 中国四国地方環境事務所 環境対策課課長補佐

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シンポジウム開催にあたり、ESDは行動を変革するための教育であり、学校だけでなく世界や日本で起こっていることを知り、地域・社会・仕事とのつながりを築くことであり、あらゆる場面で誰もがいつでも取り組むことのできる環境の装置である、と説明がなされた。2015年9月に国連において採択されたSDGsとESDの関わりについても説明され、SDGsは持続可能な開発のための目標であり、経済、社会、環境と均衡の取れた目標達成のための、生産、気候変動、生物多様性、人口減少、高齢化等により、農林水産業を始めとした地場産業の衰退、コミュニティの希薄化等の地域課題に対して、学びと活動の具体的な達成目標を定めたものである、と述べられた。
ESDへの取組みとして、環境省は中国地方において、ESD環境教育実証プログラム、ESD拠点支援事業等に取り組んできたが、成果の共有が課題であることが紹介され、最後は平成28年4月に文科省と環境省により、全国ESD支援センターが東京に開設したことと、2017年7月に中国地方でもEPOを活用した地方ESD活動支援センターを開設予定であるので、支援をお願いしたいと述べられ、挨拶を締めくくられた。

9:40~ 基調講演 「持続可能な社会の構築を目指した取り組み」~ESDの活動支援という視点から~
講師:松本 一郎 氏/島根大学大学院教育学研究科 教授

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15年前に環境省と共同で、「自分の住んでいる町の豊かさ」を教える、理科、社会、特別支援学校向け環境学習プログラムを作ってきた経験から、自然環境豊かな島根の地でESDという言葉を伝えたい。意識しないで、美しい景観、根付いた産業・文化等に基づき従前から行ってきた活動を次世代へ伝え、広めることが狙いである。一昔前は、環境と言えば保護であり、また、環境教育の目的が明確になった1975年のベオグラード憲章にて、目標として掲げられていたのは「関心」「知識」「態度」「技能」「評価」「参加」の六つであったが、40年後にそれらがESDに置き換えられ、環境教育のみならず経済・文化・歴史・平和を含めたものがESDの概念である。
今回のシンポジウムのポイントは、「持続可能な社会を目指して」「ESDとは? -その魅力と推進力-」「様々な立場に基づいた様々な活動をつなぐ」の三つである。
持続可能な社会については、宍道湖、中海も1000年のスパンで考えると、今のままではない。また、地球の現在は氷河期に向かっていると言われているが、一気にCO2を増加させると地球の呼吸のリズムを壊してしまう。
ESDの魅力と推進力については、2014年に生まれたGAP(グローバル・アクション・プログラム(プラン))が、横のつながりを大事にするものである。2016年の4月に文科省と環境省が共同で設立したESD活動支援センターもその表れであり、ESDは縦と横のつながりを可能にする魔法の言葉である。
様々な立場に基づいた様々な活動をつなぐことについては、島根大学の取組例の説明がなされ、事例紹介として島根大学生の説明を当シンポジウムで企画しているということを述べ、参加者の期待を高めつつ基調講演を締められた。

10:40~ 事例紹介
『学生の視点からの活動紹介』

活動紹介①:小木曽 博幸氏(島根大学法文学部2年生)

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島根大学の現役の学生である小木曽さんより、スライドを用いて、島根大学のEMSに関する取組みを紹介された。

活動紹介②:藤井 春菜氏 (島根大学生物資源科学部4年生)

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島根大学の現役の学生である藤井さんより、認定NPO自然再生センターでの活動、大森町での活動報告、タイ国訪問で学習したことの報告が紹介された。

11:00~ パネルディスカッション

<パネリスト>
・原 俊雄氏 (宍道湖漁協)
・三原 綾子氏(合同会社 宮内舎)
・小木曽 博幸氏(島根大学法文学部2年生)
・藤井 春菜氏 (島根大学生物資源科学部4年生)
<コーディネーター>
松本 一郎氏(島根大学大学院教育学研究科 教授)

パネルディスカッションの設定であったが、先ずパネラーの活動紹介がなされた。

事例紹介①「賢明な利用『宍道湖のシジミ漁』」宍道湖漁協 組合長 原 俊雄 氏

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最初に宍道湖の特徴について説明された。特に代表的な魚介であるシジミ漁獲量は、平成19年以降激減したが、漁獲の制限により、平成25年から漁獲量が回復している。
宍道湖漁協の取り組みとして、繁茂した藻類や水草の回収、間引き、湖底の耕うん作業のほか、環境省と連携して平成18年から毎年実施している湖底清掃についても紹介がなされた。ゴミの量は減少傾向にあるが、まだまだ沢山あるのが現状である。
漁師として、宍道湖の魚介を提供するほか、宍道湖の自然を守ることも役割も大事であり、宍道湖が生態系豊かで在り続けるため様々な取組を続け、若い世代にも漁師としての役割を伝えていきたいたいという思いを伝えられた。実際の取組みとして、子供達と漁師と一緒になったシジミ漁の体験を紹介された。子供達には、体験を通して宍道湖に対する思いを伝え、子どもたちの記憶に残ればと思っていると述べられた。最後はシジミの良さと、シジミをもっと食べてほしいという思いを伝えられ、事例紹介を締められた。

事例紹介② 環境再生型農業の試行と移行 宮内舎 三原 綾子氏

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三原氏が所属する宮内舎(みやうちや)は島根県雲南市大東町にある企業で、米や小麦を生産している。実家の酪農で生じた牛糞の農地還元、減農薬・無農薬生産を行っている。
伝統・文化・知恵・自然環境が失われていくことに対して取組んでおり、成果として、米価買取価格はJAの1.9倍、田植えの手伝い等による交流人口は3年間で200名程度、農薬の減少、耕作放棄地を10反削減、10反の農薬減少栽培を実現していることを紹介された。

2つの事例紹介の発表後、コーディネーターの松本一郎教授より、パネリスト一人ひとりに(1)学び方、(2)発信の仕方、(3)継続していくための方法、に対する意見が求められ、順に回答がなされた。
主な回答は以下の通りである。
(1)学び方
・積極的、参加が必要。
・色んな事に挑戦、学ぶ内容の整理。
・体験することが重要。
・自分事として捉える。
・好きなことを学ぶ。

(2)発信の仕方
・SNS、フェイスブック、ツィッター、口コミ。
・顔と顔がつながる関係が大事。
・現状を正しく伝える。

(3)継続していくための方法
・やる気を持った人の存在
・楽しいと感じること
・仲間がいること
・意識変革
・体験活動

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12:30 - 閉会

【評 価】
ESDという聞きなれない言葉のシンポジウム、しかも土曜日の午前中という状況のなかでの開催にも拘わらず、行政も含め多様な参加者にESDの言葉・概念を伝えることが出来たことが成果であると考えている。
一方、参加者数は36名にとどまり、教育機関、学生、若者世代の参加も少なかった。準備期間、参加者と発表者の意見交換の時間、発表者の活動内容を伝えるための時間が十分とれていないことと、ESDの意味するものがどの程度伝わったか、の効果測定が課題である。

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